baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 大相撲

 大相撲の大阪場所は久しぶりに客入りが良い様である。大相撲ファンにとっては朗報である。この七日間を見ていると、白鳳は明らかにピークを過ぎた感は否めないように思われる。しかしその分心技に一層磨きが掛って、強さと言い風格と言い品格と言い、益々大きな横綱になっている。力士会を引っ張って率先して東日本大震災の被災地復興に心を寄せるなど、もはや日本人顔負けの名横綱と言って良かろう。朝青竜の数々の好ましくない記憶は未だ生々しいが、とても同郷の横綱とは思えない、日本人以上に日本人の心を体している白鳳である。他の日本人力士にも是非見習ってほしいものである。
 贔屓の琴欧州は相変わらず、大きな図体を持て余して頼りない事この上ない。徒に頭を下げ過ぎたり、体が大きいにも拘わらず小兵のリズムに乗ってしまうから、コロコロと良く転がる。腰を割ってドンと構えて胸を出していれば、格下にはそう簡単に負けるとは思えないのだが、歯痒くて仕方がない。今場所も、中日を前にしてもう優勝戦線から脱落しかかっている。情けない。それでも最近は一人で積極的に出稽古に出掛けてりしているという話も聞くので、もう少し辛抱して見ていてやればそのうち一皮剥けるのであろうか。
 稀勢の里が今場所はすっかり精彩を欠いている。まるで土俵に力が伝わっていないから、突っぱっても全然威力がない。今場所は早くもカド番大関に陥落しそうな雲行きである。親方の急逝で大関昇進が少し甘かったものか、或いは今場所は何処か体調が悪いのか、単なる稽古不足なのか。唯一の国産大関として人気があるのだから、もっと性根を入れてしっかりして貰わねば困る。
 今場所は何と言っても把瑠都の綱取りが話題である。しかし、僕は今の把瑠都の綱取りには納得出来ない。把瑠都自体は何処となく可愛げがあるので個人的に嫌いな訳ではないが、相撲の内容が到底横綱相撲と言える内容ではない。馬鹿力で勝っているだけで、技らしい技は何もない。昨日の旭天鵬戦などはその最たるもので、決まり手は下手投げだったが実体は唯の「振り回し」と言う、決まり手にはない新しい手で、相手の旭天鵬の眼が回ってひっくり返ったような相撲であった。旭天鵬戦は極端としても、把瑠都の相撲は強い事は強いけれども、そこには品格の欠片も感じられない。大関までならまだしも、もっと技と品格を磨いて貰わねば横綱には相応しくない。今は二場所連続優勝すればほぼ横綱昇進出来るらしいので、下手をすればこのまま横綱になりかねないが、願わくばただ勝てば良い相撲ではなく、技と風格のある相撲を身に付けてから横綱にしたいものである。今の把瑠都横綱になるようだと、その中土俵もリングと呼ばれるようになるのではないかと心配になる。
 今場所の成績次第では大関昇進も夢ではない関脇鶴龍が、今日まで全勝を守っている。先場所は立ち合いに変化したりして不評を買ったが、今場所は未だそれもなく、危ない相撲も何とか星は拾っている。一時は朝青竜の子分と言われていたのでそれだけで好きではなかったが、実は技も多彩で良い相撲も取れる力士である。今後白鳳を見習って一層精進してくれるなら、取り敢えずの大関昇進は良しとしよう。
 大分力士の顔が入れ替わっていて、また顔と四股名が一致しない力士が沢山出て来た。逆に馴染みの力士が十両に沢山いる。相撲の世界も世代交代のようである。一昨日幕内の土俵入りで人数を数えたら、未だ日本人が半分位いるのでそう捨てたものでもない。品格、風格、技、それら全てをひっくるめた国技の伝統を、しっかりと後世に伝えて欲しいものである。