baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 米中間選挙を控えて

 米国の中間選挙が迫って来た。この1年9ヶ月、米大統領トランプには世界中が振り回されて来たので、中間選挙で政権批判が大勢となり米国の政治に変化が生じれば良いのだが、残念ながらその可能性はない。下院では民主党過半数を占めると言う予想が大半であるが、上院では共和党が辛うじて過半数を押さえそうであり、仮に昨今の逆風のなか上院でも民主が過半を押さえたとしても大統領弾劾に必要な三分の二を押さえる事はあり得ないから、結局トランプ政権は最短でも2020年までは安泰と言う訳である。
 日本にもちょっと前に気の狂った総理大臣が現れたが、彼は誇大妄想ではあったが実行力に欠けていたので、外交では随分汚点を残したものの世界を揺るがす程の事は何も出来なかった。しかしトランプは、誰もが荒唐無稽と侮っていた選挙戦での公約を次々と強引に実現させるので始末が悪い。TPP離脱、パリ協定離脱、イラン核合意破棄、NAFTA再交渉、対韓国FTA再交渉、駐イスラエル大使館のエルサレムへの移転、等々。そして対中貿易戦争にも突入し、泥沼化の様相を呈してきた。
 トランプの暴露本などを読むと、その理解力は甚だしく低く子供並みで、幾ら理を尽くして説明しても聞く耳を持たない、と言うよりは理解出来ないらしい。その上物を読むのが苦手で、法案なども中身は読まずに署名すると言う。また言われる程には現金の持ち合わせは無いらしく、しかも相当なケチと言う。そんなこんなで、政権発足から僅か1年9ヶ月でこれだけ政権幹部が出入りする政権は前代未聞であろう。馬鹿馬鹿しくてついて行けずに辞めた人、耳障りな発言を嫌われて馘になった人、理由は様々でも多くの人が去り、今ホワイトハウスに残っているのはイエスマンが大半である。国連でしばしば孤軍奮闘していたヘイリー国連大使も、年内には辞任すると言う。
 とは言えトランプは若い時から不動産業で叩き上げて来たヤクザ商法、即ち恫喝と駆け引きには長けているので、カナダ、メキシコ、韓国と言った対米依存度の高い国にはそれなりの交渉力が発揮された。しかしもとよりそこに大きな理念や政策がある訳ではなく、目先の勘と極めて単純な相対勘定だけで動いている上に、言動には一貫性が無く平気で前言を翻したり自己宣伝の為に虚偽の発言を重ねるので、何れ米国経済にも大きなツケが回って来よう。既にアルミや鉄鋼は、米国内では国際相場の6割高で取引されていると言う。
 そこで気になるのが2020年の大統領選挙である。願わくば世界最強の国の大統領としては知性も品格も全くそぐわないトランプには退陣して欲しいと言うのは恐らく世界中の人間の願いであろうが、現職が圧倒的に強い大統領の2期目の選挙、一体如何なる事やら今から気が揉める。米国民の97%は知性が乏しく、残りの3%の極めて優秀で勤勉なエリートが国を支えているという以前からの僕の持論が証明されない事を祈るのみである。
 それにしても昨今の世界を席巻するポピュリズムには困ったものである。日本は間接選挙なのでまだ救いだが、一国の首長を直接選挙で決めるのが如何に危険であるかは既に歴史も証明しているにも拘らず、トランプの例を筆頭に危うい首長が国民を欺いている国がまたぞろ増えている。