baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 日本財団主催、福島原発のシンポジウム

 久しぶりに昨日乗ったバイクの後遺症で、今日は内股と、肩から首が筋肉痛である。大分体が訛ってしまったようである。少し頑張ってバイクに乗らないといけない。だが、今日はバイクではなくて電車で出掛けた。そして改めて実感したのだが、東京の交通機関の節電は相当徹底していて、電車の中では照明が暗くて本が読めないし、地下鉄は間引かれていて昼間でも相当な混雑である。暗いホームには電車を待つ乗客が溢れ、エスカレーターが止まっているので結構な運動を強要され、外出にはそれなりの心構えが必要なこの頃である。今日は昼から日本財団が緊急に主催した「福島原発〜誰にでも分かる現状と今後〜」という催しに行って来た。ネット中継もやっていたそうだから、ネットで観た人もいるかも知れない。日頃余り触れた事のない放射能について、もう少し勉強したかったのである。
 講演は前川和彦東大名誉教授の「放射能に関する常識・非常識」、山下俊一長崎大学大学院教授の「チェルノブイリの経験から」〜福島はこれからどうなるのか〜、神田玲子放医研上席研究員の「日本人の放射線観から」〜情報の伝え方・受け止め方〜、と三者三様の題目であった。そして最後は相当の時間を質疑応答に充てた。興味があったから参加したので面白いと言えば面白かったが、短時間での余りに一般的な対象相手の講演であった為か、残念ながら特段の話は聞けなかった。質疑応答の質問ではメディアが独占していた。相当レベルの低い質問も多く、記者達の日頃の勉強不足は如実であった。
 講演では我が意を得た発言は多かった。例を引けば、政府発表の「健康上の問題はありません。ただ、念の為に、....は控えて下さい」発言批判。枝野幸男の常套句だが、これ程無責任な発言はないと日頃憤っていたものだ。或いは、国内外を問わず、危機感を煽るばかりで具体的なリスクについての説明をしない国内外のメディア。毎日々々、計測結果は通常の何千倍だとか何万倍だとか、吃驚するような数字を連呼するがその数字がどれだけ健康に被害を及ぼすのか、どれだけのリスクがあるのかについての少しの説明もない報道が一番性質が悪いと日頃思っていた。書く方も、良く理解出来ぬままに政府や東電の発表を報道していたに過ぎないレベルであったようだが、やはり報道機関がそのレベルでは困るのである。勿論それ以前に、政府や東電の発表が数字の独り歩きでその数字にどれ程のインパクトがあるかを殆ど説明しない事、「健康上の問題はありません」しか言わない事、が一番問題ではある。
 そして専門家の一致した意見は、残念ながら高濃度の放射能汚染はあるが、歴史上の過去の放射能汚染、例えば欧米の大気中での核実験や旧ソ連の汚染水の恒常的な日本海への投棄に比べれば格段に汚染度が低く未だ壊滅的な事態には到っていない事、核分裂が止まっている今回の事故は核分裂が暴走したチェルノブイリとは比較にならない事故である事、そして危険な状態が続いてはいるが未だコントロール出来ていると言える事、などであった。更に、現状が現場の作業員の決死的な働きに支えられている事も話題になったが、僕にはやはり東電の後手々々の対応を見るにつけ、今回の事故のかなりの部分が人災であるという自論を変えるには到らなかった。
 昨日、低濃度の汚染水を大量に海に投棄したと東電が突然発表した。枝野幸男官房長官も事前に止むを得ず了承したと言う。これに対して隣国の韓国が、事前に一言の通報もなかったと不快感を表明し、国際法上の問題提起を保留した。太平洋に低濃度の水を多少投棄したからと言って日本海側にそう簡単に影響が出るとは素人考えでも思えないから、実際のリスクに対する抗議と言うよりは外交上の手落ちに対する抗議であろう。しかし、また民主党素人政権の大失態である事には変わりはない。菅直人枝野幸男、仙石由人、誰一人として隣国や、影響を与えそうな外国、例えば米国、韓国、台湾に事前通報する事に気が到らなかったのである。素人外交が如何に国益を毀損するかの、また新しい実例である。