baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 WBA世界バンタム級タイトルマッチ

 今日はWBA世界バンタム級タイトルマッチが日本で行われた。チャンピオンは亀田興毅、挑戦者はインドネシアのノルディ・マナカネという世界ランキング11位の選手である。僕は今迄名前も聞いた事のない選手であるが、亀田興毅が昔から嫌いなので自然にマナカネを応援する事になった。
 インドネシアではボクシングはそれ程盛んではない。元々はオランダが持ちこんで、欧州のボクサーにインドネシア人がぶつけられて、賭けの対象として遊ばれていたようである。欧州人が南国の植民地の、小柄な住民をけしかけてなぶりものにする様子が眼に浮かぶ。そんな暗い歴史が、ボクシングを余りポピュラーなスポーツにしなかったのであろう。しかしそんな暗いイメージが徐々に薄れ、クリス・ジョンが現れてやっと日向に出られるスポーツになった。クリス・ジョンは既にタイトルを15回連続防衛と言う世界タイ記録保持者であり、来月にはシンガポールで日本の木村章司とタイトルマッチをする事になっているらしい。そのクリスも大分年季が入ってきたから、そろそろ後釜が出て来ないとまたマイナースポーツに格下げされてしまうかも知れない。
 そんな思いの中で今日のタイトルマッチがあると知り、テレビ観戦をした。未だに亀田にはTBSがスポンサーとして付いているようである。一時はあれだけの騒ぎになり亀田も日本に居られなくなったと言うのに、TBSも懲りないものである。当の亀田は昔よりは少し成長したようで、大ボラを怒鳴ったり派手なパーフォーマンスをするのは影を潜めたようであるが、育ての親父が親父だからその人間性は信用出来ない。現に弟の和毅は試合中に相手に噛みついて反則負けとなったりしている。こんな羞聞はマイク・タイソン亀田和毅だけである。
 マナカネはクリス・ジョンと同様、典型的なボクサータイプである。ディフェンスが上手く、手数も多く、且つ最近は7戦連続KO勝ちしていると言うだけあってパンチも正確である。ただ、世界戦と言う事で慎重だったのかも知れないが、パンチ力にはそれ程の威力は見受けられなかった。試合はマナカネが常に前に出て、手数でもパンチの正確さでも積極さでも亀田を押していた。途中で亀田がローブローで1点減点されるに到り、ひょっとするとマナカネが勝つんじゃないか、少なくとも勝ってもおかしくない、と思わせる試合展開であった。終盤になり、亀田も多少ラッシュしていたがパンチはそれ程正確では無く、むしろ接近すると打たれる方が多かった。アナウンサーはしきりにチャンピオンは慎重な試合ぶりと言っていたが、慎重と言うよりは見た目以上にマナカネのパンチが効いていたのかも知れない。しまいには解説者が、亀田は何処か具合が悪いんじゃないかと言い出す有様である。しかし試合は殆どクリンチもなく、双方ともに正々堂々と打ち合う好試合であった。テレビが亀田ばかり映すのでマナカネの顔は良く分からなかったが、クリス・ジョン張りのポーカーフェースが好もしい。
 とは言えアウェイでの試合であるから、挑戦者は余程の大差が付けられないと判定では中々勝てない。ましてやTBSが後ろにいるとなれば、多少優勢ぐらいでは挑戦者が勝てる道理も無い。結果は当然の如く、亀田が3-0で危なげなく判定勝ちした。しかし内容は公平に見れば逆のように見えたし、ホームディシジョンとしても精々がドローであった。明日のインドネシアの新聞では、日本での試合のジャッジの不公平が記事にされるかも知れない。
 今日の試合を見ると、インドネシアのボクシングも随分レベルが上がって来ているように思える。10数年前の稚拙な試合ぶりとは隔世の感がある。更にハングリー精神には未だ当分事欠かないから、これからまた強い選手が出て来るかも知れない。第二、第三のクリス・ジョンが何時出て来るか、楽しみになってきた。