baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 国会同意人事を巡るドタバタ

 国会の同意が必要な人事がある。それも衆参両院それぞれで、過半数の同意がないと決められない。何時からこんな無意味な与野党合意があるのか知らないが、国会の同意が必要な人事案では国会に諮る前に報道陣に漏れた人事案は受け付けないと言うルールがある。この与野党合意が脚光を浴びる様になったのは、衆参で与野党が逆転するねじれ国会になってからである。卑近な例では2008年に、日銀総裁に政府が提案した武藤敏郎と田波耕治の元財務次官が、何れも事前に報道された事を理由に民主党が次々と撥ね付けて、日銀総裁と言う重要ポストが一時空席になるというあるまじき事態が起きてしまった。その挙句にやっと合意されたのが、現在の白川方明である。白川は優秀ではあるけれど、真面目に過ぎ、また余りに理論に拘る余り、残念ながら最適の総裁人事ではなかったと僕は思う。事前に期待されていた武藤が予定通り総裁職を襲っていたら、この間の経済の停滞振りも多少は違っていたかも知れない。何れにせよこの与野党合意は理不尽な話で、例えば或るポストに就きたくて仕方のない人物が、ライバルが指名されそうになったらその名前を報道陣に漏らせば労せずしてライバルを蹴落とせる、などと言う奇怪な話が成り立つのである。
 先週末に政府はまた14機関の41ポストについての人事案を国会に提示した。この中に公正取引委員会の委員長候補として杉本和行元財務次官の名前があったのだが、これがまた事前に漏れてしまった。そうしたら鬼の首を取ったように動くミイラ、輿石東が「情報管理も出来ないような話は受け入れられない」と突っぱねてしまった。これに対して、共産党ですら批判した。何でも政府与党には反対する共産党志位和夫が「子供じみている」と批判し、「諾否は人物を見て判断すべき」と記者会見で述べたのである。民主党内部からも反論が出始めた。その筆頭は細野豪志幹事長で、如何して事前に漏れたのかの調査は必要としながらも、個々の人物を以て判断すべきで事前漏洩だけで拒否するのはおかしいと発言した。実際、国の行方を左右する程の機密事項ではあるまいし、1日や2日前に漏れたとしても別段大勢に影響がある訳でもあるまい。肝心なのは誰でもそう思うであろう、人事案で提示された人物の資質と能力が、そのポストに適しているかどうかである可きである。事前に漏れたか漏れないかなどは枝葉末節で、そんな事に拘るから肝心の人事自体が次善になってしまったりする。
 今日報道されたNHK世論調査結果では、政党支持率がトップの自民党が40%であるのに対し2位の民主党は僅かに7%に過ぎない。衆院選では惨敗し、政党支持率も下落の一途を辿り、最早崩壊寸前の民主党だが、その上単に与党に反対する為の反対だけでは社民や共産と変わらなくなってしまう。もっと原理原則を見据えた本質的な議論をしないと、折角芽生えたかに見えた二大政党政治も、結局は砂上の楼閣に終わってしまう。と言うか、もう殆どうたかたの夢になりかかっている。