baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 原発輸出再開

 日本が原発の輸出を再開するようである。ベトナムに続き、サウディアラビアにも今後売り込みを図ると言う。トルコからも相変わらず秋波が送られて来ている筈である。結構な事である。本来、既にGEとWHを傘下に治めた東芝と日立の日本勢が、海外市場から撤退するなどと言う無責任は許されない。しかも世界の何処かに既に納入された日本製の原発が存在する限り、保全と部品納入の責任は今後何十年間もついてまわる。ところが新しい設備の納入が途絶えれば遠からず技術者も途絶えてしまい、技術の継承が途絶えれば保全も覚束なくなる。そして何よりも、日本が原発を輸出しなくとも、中国、韓国、ロシア、フランス、米国、英国、などの原発国が輸出するだけの話である。世界広しと雖も今日現在原発を今後徐々に廃止すると決めているのはドイツ、スイス、イタリーの三ヶ国のみ、そして未だ方針が明確でないのは日本だけ、それ以外の国々は今後益々原発に傾斜して行く。
 日本の原発技術は世界最先端を行くと言われている。しかも世界有数の地震国という最悪の立地条件で鍛えられているから、中国製を始めとする信頼度の低い原発が世界の何処かで稼働するよりは、その技術を以て世界一の信頼性を誇る日本製が稼働する方が余程安心なのである。そして新たな設備を設計するに当たり、一層技術を磨き信頼度を上げ、安全性を高めるのである。それに伴い、技術者も更に腕を磨き万全の保全を約束するのである。
 福島第一原発の事故以来はっきりしたのは、日本が貿易赤字に陥り、2020年までに達成すると鳩山由紀夫が世界にコミットしたCO2排出削減が出来なくなる事である。これに対しては、従来の日本の天然ガスの買い方が下手であったとか、現実感が全く欠落している鳩山由紀夫が夢を語っただけで最初から具体的なマイルストーンが描けていた訳ではない、とか色々と反論はある。しかし、福島の事故以来日本の天然ガス輸入量は2年連続で記録更新する増加ぶりで、発電に要する燃料費の大幅増が各電力会社の経営を益々圧迫し、今後電気代が更に値上げされて景気回復に水を差す事が懸念されている。更に、我が国の貿易収支は大幅に悪化し、昨年の貿易赤字が史上最大を記録した事は紛れもない事実である。原発については多角的で冷静な議論が必要である。
 未だに故郷に戻れないどころか、何時戻れるかの当てもない人達が沢山いる事は同情の念に堪えないが、福島の事故には人災の部分がある事は否定出来ず、また素人政権が徒に事故を大きくしてしまった事も紛れもない。これからはこれらの不手際を二度と繰り返さない様、地域住民の避難が求められる様な事故を絶対に起こさない様、反省の上にも反省を重ねて、その上で最先端を行く我が国の原発技術を更に進化させる事は、日本の世界に対する責務ではなかろうか。