baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 新道交法改正試案

 警察庁が新たな道交法改正試案を公表した。僕は中身を読んだ訳ではないので詳細は分からないが、無免許運転や危険な持病の虚偽申告に対する罰則を重くしたのと、自転車の違反に対する罰則の新設などが目新しい事らしい。僕はこれらの何れにも原則的には反対する者ではないが、何だか寂しい思いがするのである。無免許運転は、実は相当の事故件数があるようで、しかも重大事故の比率が非常に高いと言う。最近の車は誰でも運転できるようにバカチョンになっているから、無免許でも動かすことは簡単である。しかしそれなりの訓練を受けていないから、いざと言う時に馬脚が現れる。免許を持っているドライバーでも傍迷惑な下手糞が山ほどいるのに、その免許すら取っていないのだから事故を起こさない方が可笑しいというものである。
 僕が寂しくなるのは、免許を持たないものが実際に車の運転が出来てしまう現実に対してである。車の所有者は鍵を渡す相手が無免許である事は知っている筈である。酒を飲んだドライバーに運転させるのと同罪の、事故幇助がどうして罷り通ってしまうのであろうか、そんな当たり前のモラルすら守られない現実が寂しいのである。或いは、発作的な障害がでる病気の患者には車の運転が出来ないのは気の毒であると思うが、障害が出た時の結果を想像すれば我慢して貰うしかない事は自明である。それを例え仕事の為であれ、無理やり運転すれば結果として小学生が多数死傷したのと同様の事故が起きるのは必然である。自ら望んだ訳でもない病気の為で、しかも普段は平常に生活できるだけに患者にとっては悔しいとは思うが、やはり自ら謹んで貰うしかない。ただ、そういう当たり前の事が、法律で厳罰化しないと守られなくなっている今の日本が何とも寂しいのである。
 もっとも自転車については、日頃腹立たしい事が多すぎるので、法律で罰則を作るのは已むを得ないと思う。とにかく僕でもハッとする乱暴運転は日常茶飯事、逆走など当たり前の今日この頃、それをうっかり注意すれば睨み返される有様、角で道路の右側から飛び出してきて出会い頭になりそうな事など珍しくもない。自転車に乗っている人間には、時としては凶器になり得る乗り物に乗っているという自覚が乏しければ、交通ルールを無視しているという意識など皆無の様である。以前にも書いたが、自転車に乗り慣れている筈のロードバイクに乗った人間が赤信号にも拘らず高速で歩行者を掻き分けて横断歩道を突っ切るのは、今では日常的な光景である。耳にイヤフォーンを入れ、或いは携帯で話しながら結構なスピードで歩道を飛ばして行く若者、行き会いで自分の右側に寄って来る女性、三人乗りをしながら後方確認もせぬまま突然進路変更する若いママ、しかも電動アシスト自転車が増えていて若いママも結構なスピードで走り抜ける。
 こんな危険な事も警察官は自転車相手では売り上げにならないから見て見ぬふり、注意すらしない。仕方がないから僕が注意すれば、逆に睨みつけられ、時には変態男みたいな扱いをされる。こんな理不尽はないから、法律でどんどん厳しく取り締まるしかない。同時に、取り締まりに際して身元がしっかり確認出来る様に、16歳以上は免許制にして住所と名前が確認できるようにしなければ折角の新法もザル法になってしまう。
 と言う訳で、僕は昨今は、大人は自転車でも免許制にすべきと言う持論だから、道交法で乱暴自転車に罰則を設けるのは大変結構だと思うが、無免許や病気に対する虚偽申告などが法律で厳しく罰さないとならない世の中に、何とも寂しさを感じてしまうのである。無免許はともかく、重大疾病であれば自らがモラルを守って我慢している患者が大部分であろうに、それでも尚法律で律せられないとモラルが守れない人間が増えているとすれば、日本人としてこれ程悲しい事はない。