ネット販売の陥穽

　今日は腸が煮え繰り返った。僕が一方的に悪いのか、僕にも一分の理があるのか。相手はパナソニックのネット・ショップである。正確にはパナソニックの関連会社のパナソニックコンシューマーマーケティングと言う会社なのだが、事の顛末は些細な事である。
　僕はパナソニック製の明るさセンサーの付いた常夜灯を友人宅で偶々目にし、以前からこんな物があったらと正に欲しかった物だったので、早速日頃から時々買い物をしているパナソニックのネットショップを検索してヒットした。掲載されている写真では僕が見た物と全く同じ外観だった事と、ネットショップに掲載されている常夜灯はこの一種類だけだったので迷わずに注文した。クレジットカード決済である。ところが数日後に届いた物を見たら、期待していた物ではなかった。僕は夜間だけ使いたいので昼間はスウィッチの切れるスウィッチ付きの物が欲しかったし、実際に僕の見た物にはスウィッチが付いていた。一方で、ネットショップに掲載されていた写真ではスウィッチの有無は見えないし、写真で見る限りの外観は全く同一で、しかもスウィッチ云々の詳細仕様が掲載されている訳でもない。効能が謳ってあるだけであった。そして、送られて来た物にはスウィッチは付いていなかった。24時間点けっ放しのタイプであった。
　慌てて友人に品番を確認したら、やはり品番が異なる。僕の欲しい方の品番で検索したが、こちらの物はどうやらネットショップでは扱っていないらしい。それで週明けの今日、ネットショップのカスタマーセンターに電話をし、出来れば同じパナソニックの商品なので交換を、交換が無理なら返品をしたい旨申し入れた。これに対する窓口の女性の対応は、交換は無理、返品は受けるけれども客の一方的な都合による返品なので手数料を別途申し受けると言う話である。勿論返送手数料は僕が持つ事は初めから言ってあったのだが、加えて返品手数料を申し受けると言う。確かに客の都合による返品には手数料が掛かると言うのは注意書きに書いてあったが、上の様な事情なのだから返送料はこちらが持つけれども一方的にこちらが悪いと決めつけて返品手数料まで取るのは理不尽ではないかと食い下がった。相手の女性はマニュアルに書いてある事しか返答できないので、上席の人と話がしたいと頼んだ。こちらは金額の問題ではなく、筋が可笑しいと考えたのである。金額の事を言えば、商品代金2,640円に対し返品手数料500円である。
　散々焦らされた挙句に上席と名乗る男性から電話があった。この男性がそもそも飛び切りの慇懃無礼で、益々僕の怒りの火に油が注がれたのだが、先ず事の経緯を初めから説明しろと言う。初めから上から目線なのである。仕方がないので上述の経緯を改めて説明した。そうしたら「貴男は失礼ながら日頃ネットで買い物をしているか」だとか、「他のネットショップでは返品の際に手数料は取られないのか」とか、本件とは無関係な質問ばかりを繰り返すのみならず、まるで子供を相手にしているような子馬鹿にした口調なのである。その癖合い間に「返品を受けなければならないと言う法律はない」などとチラチラと恩着せがましい科白を挟む。そんな本件とは無関係な話を続けた後に、いきなり「言いたいことは分かったが、本件は自分の方には落ち度がないのでやはり客側の一方的な返品と見做さざるを得ない」といきなり結論に飛躍した。話にも何もなりはしない。こんな不見識な男が相手になると知っていれば、初めから上席の人間など頼まなかった。何者かと尋ねたら、カスタマーセンターのセンター長だと名乗っていた。余程人材不足の会社の様である。
　品番を確かめずに注文した僕の側に非があるのは認めるのだが、本件の行き違いの原因が全て僕の側に非があると決めつけられるのが如何にも癪に障る。同じパナソニックで類似品が、しかも外観が殆ど同一な製品があるのにそれについては一切言及せず、詳細仕様も記さずに片一方だけネット販売して置いて、その類似品と取り違えたのは偏に客の責任であり自分の側には一切非は無いと言い張り、しかも口の利き方も知らない無礼者に虚仮にされたのである。パナソニックの全ての商品が扱えないのは分かる。他商品に類似品があるとか、仕様上に斯く斯くの相違があるなどと言う注意書きを全ての商品について漏れなく記載しろと言うのが物理的に無理であろう事も分かる。しかし、だからと言って自分の側には一切の非はないと言い張る程、パナソニック側に非はないであろうか。松下幸之助が生きていたら、恐らくは激怒したであろう。僕はと言えば、先方の送料と返品手数料を差し引くと1500円程しか戻って来ないのだが、そこから更にこちらからの返送料を差し引くと手元には500-600円しか残らない。馬鹿馬鹿しいので返品はしない事にし、欲しい物は別途アマゾンに注文した。明日届くそうで、しかもアマゾンは一定期間内返品は無料である。