baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 電子書籍

 近くに書店が無くなった事もあるが、この頃の僕の本の買い方は、それが新聞や雑誌の広告であったり人の話であったり誰かのブログであったりと理由は様々だが、或る特定の本を買うと言う買い方が普通になってしまった。昔の様に本屋で背表紙を眺めながら、作者と題名に興味を惹かれると裏表紙の粗筋を読んで買う、と言う事が絶えて久しく無くなってしまった。となるとネットで買うのが一番手っ取り早く簡単なので、この頃はもっぱらネットショップで買う。昨晩、何時もの様に或る本を買おうとアマゾンを開いた。するとその本にはキンドル版がある。しかも紙の本よりも300−400円安い。
 僕は以前から読書用のタブレットには大いに興味があった。と言うのも、海外出張の時には必ず、本を何冊も鞄に入れるので嵩も目方も馬鹿にならない。出先で読む物が無くなると暇潰しに困るので、必ず多目に入れるのが常である。そもそも僕が何冊かの本を併行して読む癖が付いたのも、きっかけは出張の時に残り少なくなった読みかけの本は持ち歩かない様にしたからである。持って行きたいのは山々なのだが、荷物は増えるのに時間潰しと言う目的には殆ど役に立たないからであった。それがタブレット一つで何冊もの本を持っているのと同じなら、これほど楽はないと想像していたのである。折からの円安で、iPad同様遠からずキンドルも値上げするであろうと言う読みもある。そして僕には衝動買いと言う悪い癖がある。
 今までも、何度も調べてはいた。しかし本を探し出すと、電子版にはロクでもない本しか売られていないので、何時も自重していた。ところが今回は買いたい本のキンドル版が出ている。そこから先は、とにかく衝動買いなのだから五月蠅い理屈はない。昨晩、それも真夜中近くになって先ず本の注文を先延ばしにして、キンドルホワイトを注文した。すると何と今朝の10時前にはもう届いてしまった。早速セットアップして、欲しかった本を注文した。その場でダウンロードが始まり、あっという間に読めるようになる。何とも便利な代物である。ガラマンの僕でも、未だに馴染まないながらも昨今はiPadは持っているし、ガラケイも已むを得ずではあったがスマホに持ち替えさせられているから、キンドルの扱いは極めて簡単に思われた。しかも大きさも重さも手ごろで申し分ない。年甲斐もなく少々浮かれてしまった。
 近々海外出張を予定しているので、調子に乗って衝動買いついでに早速出張に持って行く本を物色した。ところがである。アマゾンには従前同様、買いたい本は殆どない。慌てて、電子書籍では定評のある、或る大手書店のウェブ本屋も物色した。しかしそちらも同様である。それどころか、販売されている本の70-80%はコミック本ではないか。確かにコミック本はあっという間に読めてしまうから、電子書籍にして一度に何冊も持ち歩くのにはうってつけである。しかし高い買い物をしてコミック本しか読めないのでは、麻生太郎の様な大金持ちならいざ知らず、僕にはバカバカしくてならない。仕方がないので、もう著作権が消滅していて無料になっている古典文学をダウンロードして憂さを晴らしたが、ソフトがこれ程貧弱だと電子書籍が本当に便利だと思える様になるには未だ相当の時間がかかりそうで、衝動買いを少々後悔している。負け惜しみで、古典文学を読み返す良いチャンスだと思うしかない。