baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 雑感 〜 久しぶりのインドネシア

 今日、ジャカルタに来た。久しぶりである。東京がここ数日急に朝晩涼しくなったので尚の事、飛行場を出たとたんに熱気と湿気に襲われた。20年前のジャカルタは、今のバリ同様、朝晩は結構爽やかだったのだが、この20年間の公害による空気の汚染で空気がベトッとなってしまった。
 飛行機は、昨年のリーマンショック以来今年の前半までは極端に空いていたのだが、今日のJALビジネスクラスはほぼ満席であった。インドネシアの経済情勢は悪くないと昨日か一昨日の新聞で読んだばかりだが、実感である。
 インドネシアは鳥感冒の感染国で、死亡者数も世界で一、二の筈だが、今は豚感冒にその座を取って代わられて鳥感冒のニュースは全く聞かれなくなった。豚感冒は今年の春に世界中で随分騒がれていた時も、インドネシアでは未だ感染者は出ていなかったが、今はどうであろうか。のんびりした国だから、感染しても分からない部分もあるだろうけれど。
 今インドネシアで外国の人が一番気にしているのはテロであろう。だが、先日のテロ実行犯は二人とも自爆しているし、マスターマインドだったマレーシア人は既に中部ジャワで治安部隊に銃撃戦の末射殺されている。シンパと思しき10人位のグループは先日ジャカルタ郊外のブカシという町にあったアジトで、射殺、ないし拘束され、100kgの爆薬が押収された。これで当分インドネシアではテロはないだろう。 
 インドネシアのテロリストは従来も今回もマレーシア人を主力とする外国人である。そもそも、マレーシアはイスラム教徒であれば誰であれ国籍を問わずヴィザ不要の国なので、アルカイダだろうがタリバンだろうが入国自由なのである。そして島伝いにインドネシアに潜入して来る。17,000もの島があるインドネシアでは密入国の取り締まりは至難の技である。
 反面、インドネシア人のテロリストは殆どいない。ジャマーイスラミアという東南アジアのテロ集団があり、インドネシアにも組織はあるが、インドネシアのジャマーイスラミアはテロには消極的で、強硬派とは距離を置いている。インドネシア人は性格的にテロとは合わない。そしてジャマーイスラミアを中心とする、テロには消極的ながらもイスラム過激派に属する約1,000人、シンパを入れて約4,000人、のインドネシア人は全て治安当局に把握されている。
 インドネシア諜報機関は、のんびりしたお国柄とは異なり非常にしっかり組織されており且つ下部組織を入れれば3万人という大組織である。スハルト政権時代に力を付け、未だにその力には絶大なものがある。スパイや扇動のみならず銃器や毒薬、爆薬の専門家集団だから、幹部クラスは皆一様に異様な目つきで、お近付きになると背筋を冷たいものが走る感覚はあるが、国家の為という大義名分はしっかりしている。その彼等ですら把握しきれない外国人のテロリストが潜入し、テロ事件を引き起こしてインドネシアの印象を悪くするのは困ったものである。