baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 自衛隊に思う

 最近自衛隊に思いを馳せる機会が続いた。先日、ユーザー車検で練馬の陸運局に行った時、道路の向かい側が陸自の練馬駐屯地で多数の軍用車両が道路に沿って駐車されていた。昨日山中湖から篭坂峠を下って御殿場にゆく時には、須走で東富士演習場の脇を通る。この道は時々使うので訓練の現場を目撃する事もある。
 日本の自衛隊の練度の高さは国際的に定評のあるところである。ミサイル迎撃ミサイルのパトリオットは、以前は命中率を争う世界大会が、パトリオットを装備する全ての国の軍が参加して毎年米国で開催されていた。しかるに、毎年日本の自衛隊が圧倒的な大差で優勝してしまうので、3年位続いたところで取り止めになった。理由は、自衛隊パトリオットの整備が完璧なら、現物発射は予算がないからとても出来ないが、それでも訓練に次ぐ訓練で命中率は100発100中、一番パトリオットの発射実績があるイスラエルや、パトリオットの生みの親であるアメリカを初めとする各国は手も足も出なかった由。結局、日本しか勝てない大会は意味が無いと取りやめになったそうだ。また、ペルシャ湾での掃海作業も、日本の作業は完璧だったそうで、その練度の高さが改めて評価されたと聞く。インド洋での給油作業でも、ただの一度も事故がない。今はアラビア海の海賊対策でも護衛艦が派遣されている。ご苦労な事である。
 以前、ジャカルタ駐在時代に、海自の護衛艦「あまぎり」が親善訪問し、我々駐在員の代表が艦内に招待された事がある。艦長の一佐にお出迎え頂き、色々お話を伺った。我々浮世の人間とは異なり、国の為に一命を賭す覚悟を固めている自衛官の、汚れのない清々しさに胸を打たれた記憶は忘れられない。艦は中東への親善訪問からの帰途の寄港であったが、既に長い航海の後であったにも拘わらず若い乗組員の規律は厳しく、身なりも礼儀も正しく我々と接してくれた。皆、日本の国体を護ってくれる頼もしい若者達だった。そして、狭いながらも清潔な艦内は印象深かった。
 「あまぎり」は大型ヘリコプター搭載艦であったが、その着艦スペースからは、大型ローターと艦上構造物のクリアランスは殆ど取れない、そこを3mを超す波浪の中で離着艦すると聞き驚いたものである。実物を見ないと分からないだろうが、正に神技である。ここでも自衛隊の練度の高さを実感した。
 2002年には、国連統治下の東ティモールPKO派遣されていた自衛隊を訪問する機会があった。東ティモールはとにかく暑い。しかも、当時は産業が未だ殆どなく、車もロクにない土地柄、公害がないので空は何処までも青く澄み渡り、海は底知れず深い藍色を湛えている。暑い。余談だが、ナンバープレートを付けていない車が殆どで、ナンバーを付けている車は国連の車ばかりであった。その位未だ車が少なかった。
 ふぅふぅ言いながら自衛隊の駐屯地に赴くと、テントが幾張りも設営されている。衛兵に要件を伝え身分を証明して中に入れて貰う。通りすがりにテントを覗くと、ベッドが並んでいるテントだった。2列で50床位あっただろうか。テントの目の高さの辺りが蚊帳になっているだけで、エアコンも入っていなかったと思う。調度、夕方で隊員の入浴時間だった。一際大きなテントに上半身裸になった隊員が列を作って順番を待っていた。浴室はテントの中なのだった。さだめし厳しい毎日であったろう。既に女性隊員も駐屯していたが、違った意味でまたご苦労な毎日であったと思う。
 日本のPKOは非常に評判が良い。そして、その日本の評判を支える練度の高い、真面目な隊員達がいる。彼らは日本に戻れば憲法9条との絡みで、立場が曖昧である。命懸けで働いているのに武器使用が厳しく制限されている。撃たれるまで撃ってはいけないなどと、平和な内地で声高に叫ぶ無責任な政治家のお陰である。こちらは威嚇射撃も制限されているのに、相手は本気で撃ってくるのである。気の毒な事である。
 外交は極論すればエゴのぶつかり合いである。きれい事はあり得ない。外国が日本の国体を護ってくれる、などという絵空事はあり得ない。日本にその国にとっての存在価値があれば護ってくれるであろうが、日本が必要とする時に護って貰える保証はない。今後の中国の動向次第では、日本などはどうでも良い国に落ちぶれる可能性もある。そして、どうでも良い国を護ってくれる国は絶対にない。結局、外国では自分の身は自分で守るしかないのと同様、国際社会では自国は自力で護るしかないのである。
 戦争は絶対に避けなければいけない。人が人を殺すなどという野蛮は絶対に許されない。しかし、日本国は日本人の手で護らなければならない。戦争を避ける手段として、同時に国際社会への貢献をアピールする手段として、近代的な兵器を装備し、優秀な戦闘員を保有する事は必要である。戦争を回避する為に軍備を一切放棄するなどという現実離れした夢物語は許されない。僕には日本が消滅するという事態だけは受け入れられない。そんなことはあり得ないという人がいる。東ティモールインドネシアに併合されたのは未だ40年前の事である。チベットが中国に併合されたのも、50年前のことである。北朝鮮核兵器を開発しようがミサイルの発射実験をしようが、国連は声明を出すだけである。