baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 ジャカルタの地下鉄

 ジャカルタの地下鉄プロジェクトがやっと動き出すようだ。このプロジェクトは10年以上前から計画されていて、ドイツの会社がリーダーシップを取り日本の大手商社も絡んで、時の大統領の後押しで鳴り物入りで計画が公表されたりもしたものだ。しかし、それ以降資金集めが難航し、更には計画に絡みたいインドネシア側の政治家や実業家の足の引っ張り合い、果ては設計・施工を監督する日本の会社の汚職事件などもあり、何度も計画の具体化が発表されては頓挫していた事業である。今般日本の国際協力事業団の主導で先ずコンサルタントの国際入札が行われるという事なので、やっと具体的に動き出したと言う事が出来よう。
 市内の公共交通手段がバスしかないジャカルタの交通事情はすでに飽和状態にあり、市内の中心部には近年バス専用のバスレーンが整備されバスレーン専用に設計されたバスが投入された。しかし、バスレーンの新設は逆に交通渋滞を増加させる面もあるため、一部の関係者には相当の利益が生じたであろうが、肝心の交通渋滞問題の解決には殆ど意味をなしていない。
 また、朝晩の交通渋滞を緩和させる為に、朝の6時半から10時までと、夕方4時半から7時まで、スリー・イン・ワンと言って、一台に三人以上乗車していない自家用車は市内の中心部に乗り入れられない規制も行われている。しかしながら、当地では自家用運転手を使う事が普通なので、富裕な人は元々ボディーガードを連れて歩いているから端から引っ掛からないか、或いは専用の使用人を雇って朝晩運転席の横に乗せれば良いので何の痛痒も生じない、更に規制区域の入り口近くにはジョッキーと称せられる子供達が待っていて1万ルピア(100円)程度で同乗する商売をしているので、結局不要不急の人と自分自身で運転していてジョッキーを二人も乗せるのが面倒な庶民に影響がある程度、殆ど交通渋滞には影響がない。むしろ、夕方などは7時過ぎの混雑が酷くなっている。
 こういう状況だから、地下鉄建設は一刻も早く望まれていたのだが、発展途上国でのこの種のプロジェクトには常に利権と汚職が絡むのでなかなか進展しないのである。別にインドネシアだけに限った話ではなく、どこの発展途上国でも同じである。汚職は勿論良くないのだが、水清きに魚住まず、で現実は奇麗事だけではない。この地下鉄プロジェクトも今後も未だ紆余曲折があるかも知れない。庶民の為に一刻も早い完成を祈るばかりである。