baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 インドネシア旅行記 (1) 〜 ブロモ山

 インドネシアの有名観光地については既に沢山ガイドブックが出ているので、場所の説明は極力避けるつもりである。僕は実は随分あちらこちらを歩いているのだが、印象の薄い処もあるので、印象の強かった場所に絞って、またガイドブックと重複しないように僕は自分の経験や感想を中心に書くことにする。実は写真も数千枚あるのだが整理が悪くて出て来ないものが多い。見付かったものは掲載して行きたい。
 ブロモ山というのは東ジャワの、殆どバリ島に近いところに位置する火山である。インドネシアの観光案内には、見事に左右対称のカルデラ火山の写真がよく載っているが、あれがブロモ山の内輪山である。外輪山の標高が約1,800mあり、そこからの内輪山の眺めが素晴らしい。
 もう17、18年前になろうか、このブロモ山観光をした。ジャカルタから飛行機で約1時間半でインドネシア第二の都市、スラバヤに着く。そこから、事前に契約しておいた観光ツアー会社のワンボックスカーに乗り換えて、目指すのはブロモ山の麓にあるリゾートホテルである。スラバヤ空港からホテルまで、約3時間半のドライヴである。ホテルに近付くにつれ道は未舗装の細い山道となり、反対側から車が来るとすれ違いも思うにまかせない。しかも片側はガードレールもない切り立った崖である。この場所で2週間前に陸軍のジープが100m程転落して乗員の兵隊が全員死亡した、などとガイドが平気で説明してくれる。
 ホテルはバンガロー式になっていて山の斜面に建っている。本館から自分の部屋までは階段を上がったり降りたりしながら結構歩かされた。周囲には全く何もなく、夜になれば闇は吸い込まれそうな真っ暗闇になる深山である。夕食を済ませさっさと自室に引き上げる。粗末な部屋だ。翌朝は3時半にモーニングコールが掛り、3時45分にロビー集合、4時出発である。
 翌朝3時45分にお茶と、断食明けのスナックの様なお菓子や粽を食べて、4時に持参の防寒具を着込んで出発する。外は物凄く寒い。ここからは車はホテルの客との相乗りで、4輪駆動のキャビンカーとなる。真っ暗闇を走る事約1時間、外輪山の頂上へ出る。外輪山の眼下には毎朝雲海が出来るそうだ。ガイドによれば年に360日は雲海が出来ると言う。5時20分位に太陽が雲海から昇って来るというので、みな震えながら夜が明けるのを待つ。インドネシアへ持って行った名ばかりの防寒具など何の役にも立たない。段々東の空が白んでくる。そして待望のご来光である。未だ金星も輝いている。

 夜が明けると少し先に内輪山が雲海から頭を出している。外輪山よりも低いところにある、見事なすり鉢状の山である。溶岩が流れた跡が手に取る様に分かる。


 
 とにかく寒いのだが、ご来光を拝めば寒いのを我慢したのも報われる。ここから内輪山へ行くのがコースなのだが、外輪山を下ると内輪山までの数キロの行く手は火山灰の砂漠になっている。車は乗り入れ出来ない。歩くか馬に乗るかである。僕は馬に乗った。結構起伏が激しく、時々馬の首が急になくなってびっくりするとかなり急な下り坂だったりする。

 そして内輪山の頂上までかなりの段数の階段を登るのだが、頂上は道幅が非常に狭く手摺もついていないので非常に危険であった。狭いところでは幅が1mほどしかなく、且つ両側は急な崖で落ちたら止まりそうにもない。

 高所恐怖症の僕は早々と下山した。内輪山の内側は湖どころか池と言うにも程遠い水溜りがあって、水は美しい瑠璃色をしていた。未だ水蒸気が上がって来る。 寒かったけれども一見の価値のある場所だった。ただし、これ以上は見る所もなく、9時ごろホテルに戻り一休みして、12時ごろにチェックアウトしてお終い。
 ところでブロモ周辺の高地にはヒンズー教徒が結構沢山いる。聞けば、昔は東ジャワにはそこそこヒンズー教徒がいたらしい。それが15〜6世紀頃だろうか、イスラム教が入って来て、ヒンズー教徒は東に追いやられ、大部分は海を渡って対岸のバリ島に逃げたが、一部は山の上に逃げたそうだ。