baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 インドネシア旅行記 (2) 〜 バンドン

  バンドンはジャカルタの南東約180kmにある、インドネシア第三の都市、西ジャワ州の州都がおかれている。この地域の種族はスンダ人と呼ばれていて、メナドと並び称せられる美人の産地と言われている。確かに色白の美人が多い。ジャカルタのカラオケでもバンドン出身者は人気が高い。
 今はジャカルタから高速で1時間半程度で行けるようになったが、この高速が出来る5年ほど前までは飛行機、汽車、車の何れかで往き来した。飛行機は双発のプロペラ機で実質30分程度なのだが、バンドンは周囲を2000m級の山に囲まれた盆地なので小さな飛行機は酷く揺れるし、事故も多かった。中国系のインドネシア人は恐がって、飛行機を使う人は稀だった。汽車は一番早い特急で3時間半ほど掛るのだがこれも当てにならない。4時間半ぐらいかかる事は始終であった。また年に一度ぐらいは脱線事故か何かを起こしていた。車は、ルートは幾つかあるのだが、一つは南回りにプンチャックと呼ばれる、ボゴールの先のお茶畑で有名な急峻な峠を越えるルート、もう一つはチカンぺック経由レンバンという、避暑地バンドンのそのまた避暑地の山を越えて入るルート、が一般的であった。何れにしても交通事故の多いところで、平均片道2回は横転しているトラックとか道端に落ちているバスとかを目撃した。しかし、慣れれば後は神頼みなので、結構景色を楽しむ事が出来た。インドネシアは何処へ行っても田園風景は長閑で心が和むのである。

 バンドンは標高700m、昼間でも涼しく朝晩は寒い程であった。盆地なのだがちっとも暑くない。昼間でも窓を開けておけばエアコンは不要で、金持ちの家でも昔はエアコンは無いのが普通であった。最近は公害と車が増えすぎて、空気は汚れてベトッとしてしまい、昼間は涼しいとはお世辞にも言えなくなってきた。それでも朝晩は未だ充分涼しい。そのバンドンに汽車で入る時には山間を抜け、鉄橋で谷を渡る。この鉄橋が築150年程の、オランダ時代に建設された時代もので、両側に欄干がない。西部劇に出てくる鉄橋と一緒で汽車が脱線するとそのまま奈落に落ちるようになっている。写真では高さが良くわからないが一番高いところでは地上高60mもある。平地を走っていても上下左右によく揺れる汽車なので、この鉄橋を走る時には何度走っても景色は良いが肝が冷えた。

 ここまで来ればもうすぐチマヒ、バンドンはもう直きである。一方、レンバンから入ると、チアンプラスというアウトレット店が街道に軒を連ねている場所がある。そのデコレーションのバタ臭いこと。これでも一応イスラム国家である。

 そして、もう少し行くとオランダ時代の総督府だったサテハウスという、今は市庁舎になっている瀟洒な建物がある。

 今でも表通りから一歩入ればジャカルタよりは遥かにのんびりしている。少し、と言ってもまだ市内なのだが、山の方へ入ればリゾートホテルがあり、そこのテラスで食事をすると昼間でも肌寒い。夜にはロビーの暖炉にくべられる薪の火が心地よい。ジャカルタで神経が擦り減ると、時々週末はバンドンへ避難したものである。