baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 インドネシア旅行記(7) 〜 ディエン高原

 中部ジャワにウォノソボという小さな街がある。高地にある、周囲は畑に囲まれた涼しい処である。バザールには獲れたての野菜が並び、茹でトウモロコシが大きなアルミの容れ物にびっしりと並べて売られている。僕はこの規模の街が一番、インドネシアらしくて、ノンビリしていて、でも適当に文明開化していて、好きである。
 この街から車で一時間ほど山を登るとディエン高原というリゾートに出る。リゾートと言っても涼しい高原という事で、決して華々しいリゾートではない。ディエン高原の特産物はソラマメとキャベツである。天豆と言っても日本の天豆のように大粒では無いので殆どが塩天豆に加工される。塩天豆をインドネシアではカチャン(豆の意)ディエンとかカチャンボゴールとか、天豆で有名な産地の名前で呼ぶ。キャベツ畑はウォノソボから高原に出る道の両側にずっと並んでいた。
 この畑の中にヒンドゥー教の遺跡と覚しき古びた祠が沢山あった。

  (この手の遺跡が畑の中に沢山散らばっている)

 高原から見下ろすと、ジャワ特有の段々畑が整然と並んでいる。

(ジャワに限らずインドネシアは山間部が多く、整然と作られた段々畑は何処ででも見られる)

 高原はとても涼しく、またたまたま僕が行った日はガスが深く垂れこめており、とてもインドネシアとは思えない景色と気温であった。そして神秘的な沼がある。

 更には高原に相応しく温泉もあった。温泉と言っても日本の様に旅館があり入浴出来るような施設がある訳ではないが、一角から湯気が立ち上り、手を入れられない程熱い湯が湧き出ていた。日本なら生卵を売って温泉玉子を作らせる観光ビジネスが成り立ちそうな熱い源泉であった。

 ウォノソボの界隈には、可哀そうに差別されている人達がいる。髪の毛が赤く縮れていて、一見して普通のインドネシア人ではないのである。昔から住んでいると言う。少女が一人寂しく遊んでいるのを見たので写真を撮ったら、物凄い雄叫びを上げて追いやられた。大人に歯を剥くのが日常の様であった。この髪の毛は別に編んである訳ではなく、これが自然なのである。
        

 ウォノソボのホテルでは、翌朝は部屋の前のテラスで、凛と涼しい空気を胸いっぱい吸い込みながら、隣室の住人と談笑しながらの楽しい朝食であった。素朴だが、如何にもインドネシアらしい雰囲気はこういう田舎の一日である。