baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 リーダーなき政権

 鳩山政権がいよいよ迷走の度合いを深めている。首相のリーダーシップが全く感じられないのが不安を大きくする。勿論首相の言動は新聞やテレビでしか見聞き出来ないのだが、何時でも首相の発言には「・・・・を検討しなければならない」「・・・・・も検討するように指示した」等々、検討を理由にした時間稼ぎばかりで一向に方向性が見えて来ない。そして、検討以外の発言は抽象的な原則論ばかりに終始する。今まで唯一明快に言い切ったのは、これも具体論が全く欠けているという意味では或る意味大同小異なのかも知れないが、国連総会でぶち上げた1990年比25%の温暖化ガス削減である(9月22日11月28日本ブログ)。信じ難い一人相撲・一人負けの対外公約だった訳だが、これが首相就任3ヶ月の間の唯一の明確な発言であった。首相は見るからに頑固そうだが、頭が固いだけで斯くも優柔不断、指導力には欠けているとは知らなかった。
 普天間基地問題でも、どうしてあそこまで社民党に言いたい放題言われてしまうのか。米国では防衛相は福島瑞穂かと嘲笑されているそうだ。年内決着に奔走する岡田克也北沢俊美の孤軍奮闘が気の毒である。純粋な党員だけで衆参併せて421名の議員を擁する民主党が、どうして僅か12名の議員しかいない社民党に頭が上がらないのか。総理大臣としてはせめてもう少し日本男児として言うべきは言い、いくら連立政権とは言えもっと毅然とした態度で臨むべきである。今こそ首相としての指導力を発揮すべき時であるのに、一体何を考えているのか皆目分からない。首領たる者には時として決断が必要である。
 そして今度は第2次補正予算亀井静香である。亀井は常識の埒外の行儀の悪い人間だからお金持ちのぼんぼんの首相には苦手なタイプかも知れないが、僅か議員3名の国民新党の党首のゴリ押しに鳩山は首を引っ込めたまま何も言わず、これではどちらが本物の亀だか分からない。追加の経済対策が渇望されている時に首相の指導力不足のお陰で、国民新党に嘗めに嘗められて決着が遅れに遅れた。そもそも国民新党参院には議席が無いのだから、民主党としてはもっと強く出られる筈なのにどうして言われたい放題なのであろうか。亀井静香は「民主党政権ではない、三党連立政権なのだ」と嘯いて憚らない。元々常人には計り知れない図々しい親父とは言え、ここまで言わせて未だ「連立は難しい」程度のコメントしか出来ない鳩山由紀夫だったのだ。そして国民新党に押しまくられて今回の補正予算は増額してしまった。その結果、2009年度の国債発行額は53.5兆円になる見通しと言う。来年の国債も44兆円に抑えるのは相当難しくなってきている。
 民主党政権は全く経済計算が出来ないようだ。今回の国債発行額は税収見込額の1.5倍近い。これで間違いなく格付け機関による日本国の格付けは下がる。経済大国などとうかれていると、世界での番付はまさかと思われる国より下にランクされる。その結果は企業の海外での資金調達のコスト増加である。マルドメ議員ばかりの現政権にそこまで頭が回る人がいるとは期待しないが、議員3人の国民新党のゴリ押しで2.7兆円の第二次補正予算が7.2兆円まで膨らんだ結果は、新たな日本企業圧迫である。
 しかも増額された国債の返済の道筋が全く示されていない。正に我々の子孫にツケを回しているだけの、無責任極まりない施政である。せめて消費税増税の議論が出て来てしかるべきであるのだが、マニフェストに拘る現政権が今消費税増税を言い出す訳はない。しかし、それでは余りにも無責任ではないか。これが、日本の将来よりも連立政権を重視し、来年の参院選挙での勝利しか頭にない現政権の有り様である。これでは若い人達は益々日本の将来に絶望してしまう。そんな時の首相の発言が「皆で一生懸命努力して行こう。そしてしっかりと経済を立て直して行こう」。まるで小学生の標語である。余りに淋し過ぎる。鳩山総理には、もはや具体的にはどうして良いか分からないのではないかと思えて来た。
 選挙に勝つために良い事づくめの嘘をマニフェストという耳触りのよい言葉のオブラートに包み国民を騙した民主党だが、騙された国民にも当然責任はある。しかし、言う事言う事、次から次へと結果が伴わず、しかも普天間基地問題のような日本にとって当面最も重要な外交問題は方針も示さぬまま単なる先送りの気配が濃厚になっている。とにかく結論を先送りし全く具体策の伴わない原則論と「検討が必要」の繰り返しばかりで、日本は一体何処へ行ってしまうのか。
 鳩山由紀夫には安倍晋三福田康夫のように早々と総理の椅子を放り投げて貰う方が国の為にも、実力が伴わない(小沢一郎の手前自由に動けない事も含め)上に偽装献金問題も抱えるご自身の為にも、遥かに良いように思えて来た。総理、そろそろ引退されて、幸い使いきれない程の資産もお有りのようですから、御夫婦で手をつないで外国旅行でもされた方が御身の為だと思います。