baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 その後のインドネシア

 昨日からまた急遽仕事でインドネシアに来た。今月だけで二度目である。
 今日のホットニュースはバリでの日本人女性殺害事件である。でも、日本でのニュースではどの程度報道されているか分からないが、彼女は既に過去10年、屡バリに来ており、一年前には滞在期限を越えての不法滞在で強制退去させられているそうだ。そして、この10年間で二度彼の地で結婚と離婚を繰り返しており、彼女が住んでいた下宿屋は普通の観光客が泊まるような場所ではないので、単なる観光客が被害に遭ったのとは少し趣が異なるようである。定収がなく日本にいるお祖母さんから定期的に送金を受けて生活していたらしいが、そのくせ、現地警察によれば結構派手な生活だったと言う。暴行されて刺殺されたようだ。刃物と使用済みの避妊具が警察に回収されている。使用済みの避妊具が遺留品として残してあること自体、犯人が科学捜査に疎い地元の人間と疑われる。勿論、刺殺されたのは気の毒としか言いようがないが、何か裏がありそうな臭いがある。少なくとも僕の見立てでは、今回の事件は即日本からの観光客が危ないという話ではなさそうである。
 相変わらず喧しいのがセンチュリー銀行のスキャンダル(12月5日本ブログ〜インドネシアは連日のデモ)である。ルポルタージュ作家がこのスキャンダルに関する暴露本を出版したら即日発禁になったそうだ。まだここ数日の話である。著者は「別に大統領が直接金を受け取ったなどとは言っていない、ただ大統領の周辺との関係を書いただけだ」と釈明している。限りなく臭うが、大統領が逮捕されたりするほど未だインドネシア民主化は進んでいない。日本の首相や与党幹事長でも大同小異であるから、僕も偉そうは言えない。増してやインドネシアだから、ユドヨノ大統領が限りなく黒に近くてもご本人の刑事事件に発展する事はあるまい。ただ、折角従来の大統領のイメージを覆してクリーンなイメージで売り出していた現大統領にしてこれというのは、一般大衆の失望は大きかろう。日本でも民主党サポーターはさもありなんで、ご同情の到りである。
 もう年末なので、ジャカルタは既に休日モードで街の活気は落ちている。外人は殆ど国に帰ってしまっているからホテルは寂しい。道も空いているし、レストランも閑古鳥に近い。しかしその中で、韓国レストランと日本食レストランの活気の違いは顕著である。韓国系の店はこの時期でも未だ多少の活気がある。他方、日本系のレストランは本当に脱力しているように見受けられる。客も少ないが、それ以上になんだか空気がどんよりと淀んでいる。これが今の韓国と日本の勢いの差ではなかろうか。そう思っていたら、夕方ホテルで受け取った日本の新聞に、大統領が率先して売り込んだ甲斐があってアブダビ原発を韓国が3.6兆円で受注したとの記事があった。原発関連機器は日立と東芝が夫々米国の大手企業を買収して世界に冠たるサプライヤーになったと思っていたが、早や韓国にしてやられた。高速鉄道でも中国が単独で売り込みを始めたらしい。中国は日本の新幹線を初めとして、ドイツやフランスという世界の高速鉄道の先駆者から技術を導入して、今やそれなりの技術の蓄積ができつつあるそうだ。勿論国の補助なくして為せる業ではない。日本も国を挙げて技術開発を促進しないと、遠からず技術立国日本、物作りの日本、の看板を下ろさなければならなくなるかも知れない。