baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 首相の偽装献金

 鳩山首相の元公設第一秘書が在宅起訴された。元政策秘書も略式起訴だそうだ。10年間に亘り虚偽の報告をしていたのに経理管理者としてそれを見逃していたからとの理由である。これが私企業であったらどうであろう。経理部長が虚偽の経理処理に気付かずに判を押していて、それも何億円という金額で、略式起訴で済むだろうか。実行犯が在宅起訴などあり得るだろうか。刑事犯として拘置されるであろう事は間違いない。そして、これだけの社会問題を惹き起したら社長も辞任せずには済むまい。それどころか、刑事事件を起こして実質倒産に至った雪印不二家の事件も未だ記憶に残っている。
 聞けば5年間に亘り首相個人やその母親からの3億6千万円の収支報告を、故人やパーティー収入と偽って記載したと言う。他の団体分を含めれば4億円の虚偽申告だそうだ。違法資金集めを目的とした確信犯である。母親からは2002年以降総額12億6千万円にのぼる贈与があったそうだ。政治家に許される一個人からの献金としての最高額、年間1,000万円で換算すれば126年分に相当する莫大な金額である。金持ちが政治を私物化出来ないようにする事も念頭に置いた政治資金規正法であるから、金持ちが金力に任せて息子を首相に据えて、その政治的野望を実現しようとしていると言われても仕方がない。同じ金額がロシアや中国から日本の総理大臣の懐に巧妙に流れ込んで来ていたらどうであったろう。国民は今のように静観していられるだろうか。それ程危うい話なのである。
 また、幾ら鳩山家が桁違いの資産家で、金持ちのぼんぼん育ちの首相だったとしても、そんな大金の処理に一切関知せずに他人任せだった、などという説明を信じる国民は一人もいないであろう。大体僕の経験では、資産家ほど税金や経費に細かいものである。そんな確信犯的な政治資金規正法違反の首相の、知らぬ存ぜぬで事情聴取もされないまま不起訴処分というのはどう考えても納得し難い。民間ではあり得ない話である。所詮検察も政府の小役人であったという事か。
 そして首相続投だそうだ。別に鳩山総裁の民主党に票が集まった訳ではなかろうし、更に言えば反自民党の票が相当あったと思われるのだから、そこまで国民に期待されている訳ではない。ましてや代わりの首相は幾らでもいる。特にこの3ヶ月の首相のリーダーシップ欠如には相当数の民主党支持者も落胆している時である。野党時代にはあれだけ自ら舌鋒鋭く加藤紘一に、秘書の過ちは政治家の責任だから辞任せよと迫った鳩山と同一人物の発言とは到底信じられない。折から指導力のなさを揶揄されて「小鳩政権」と言われ始めたことではあり潔く辞任すべき時が来た。
 小沢一郎陸山会政治資金規正法違反もある。こちらも小沢の元秘書の現職衆議院議員が在宅処分となる見込みだそうだ。所詮、自民も民主も同じ穴の狢だったと言う事である。古い政治体質に染まった政治屋には、もはや国政を司る資格はなさそうだ。二大政党は早く現職議員の若返りを図り、テンポの速い世界情勢に乗り遅れる事無く国政の舵取りが出来る体制を取らなければならない。