baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 その後のインドネシア続報

 センチュリー銀行のスキャンダルを書いて発禁になった本について、検察が急に「未だ発禁処分にした訳ではない。急遽チームを編成して内容を検討しているところである。言論の自由も守らなければならない」と言い出した。現実には件の本は即日本屋の店頭から姿を消していて、古本の市場では既に正価の20倍の値が付いているというのに、検察は「本が姿を消したのは小売店が発禁になるのを恐れて店頭から片付けたのだと思う」と空々しいコメントを出した。
 大統領がそんな本が発売されたのに怒り、直ぐに発禁処分にさせた事は想像に難くない。それに対してメディアが言論の自由を盾に抗議し、執筆者が大統領との直接の関係があるとは言っていない、と釈明し、世論が当局に当たりだしたのを肩透かしするためのお為ごかしである。インドネシアでは時々ある話で、別に慣れた人なら吃驚しない。しかし、店頭から本が姿を消してからぬけぬけとこういう発言をするのがインドネシア特有の、本音と建前の使い分けである。
 このスキャンダルの渦中にいる大蔵大臣が昨日インドネシアの2009年の経済を総括した。世界不況の中で、インドネシアの金融界はサブプライムのようなリスクの高い商品には手をだしておらず、また欧州や中東でも欧米銀行経由で安全な投資をして来ているのでドバイショックにも直接の影響は蒙っていない、また極端な輸出依存もしておらず内需も堅調なので、経済は順調に発展したと総括した。GDPの伸びも堅調であるし、実際その通りであろう。ジャカルタの街には巨大な新しいモールが出現して高級ブランドショップが軒を並べ、ひきも切らずに高級車が横付けされている。どう見ても不況には見えない。他方、センチュリー銀行のスキャンダルの影響で、現在中銀による各銀行の監査が厳しくなっており、当面与信については各銀行とも極めて動きが鈍いそうである。
 バリの日本人女性殺害事件は、司法解剖を経てより陰惨な事実が判明している。即ち、被害者は死亡する前に鈍器で胸と腹をかなり殴られ、両足を縛られた上、胸と腹を25回刺されているそうである。怨恨殺人の様相を呈している。
 バリ政庁では9月に日本人観光客の女性が殺害されたばかりにも拘わらずまた日本人女性が殺害された事にショックのようで、バリの安全を改めてアピールしている。日本人は常にバリに来る観光客数では上位にランクされる常連であるから、こんな事件がきっかけで日本人の足が遠のくのは堪らないという事であろう。同時に、バリに観光ビザで来ながら不法滞在したり不法就労するような人間には来て欲しくない、と不法外人の取り締まり強化も訴えている。被害者の日本人女性は普通の観光客ではないと匂わせて、本来の安全をアピールしている風でもある。