baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 ジャカルタ観光(1) 〜 スンダクラパ

 ジャカルタはオランダ統治時代の300年間は現在のコタと呼ばれる、海に近い地域を中心とした北部に限定されていて、バタヴィアとかジャヤカルタと呼ばれていた。今でも生粋のジャカルタっ子をブタウィ、バタビアっ子、と呼ぶ。現在の独立記念塔辺りから南側は、当時はまだ市街ではなかったようだ。今は交通渋滞が尋常ではない上にあまり観光に適した場所がないので、実はジャカルタで観光を所望されるとアイディアに窮する。オランダが300年もいたのだから、北の地域にはオランダ風に運河が張り巡らされ、今でも古いオランダの香り濃い建物や倉庫が多少は残っているのだが、残念ながらあまり保存が良くない上に、周囲を無造作に立て替えてしまうので知らないと気が付かない程度の所が多く、わざわざ見に行っても却ってがっかりされてしまうのである。
 そんな中で、案内しても大体喜んで貰えるのが、今でも現役で活躍している若干時代とそぐわない港、スンダクラパである。小さな埠頭にカリマンタンから材木を積んでやってくる夥しい数の機帆船が並んでいる。船員たちは船に暮らしている。かなりの大型船だが全て木造船である。

 こんな船に木材を満載して、帆を上げて片道5日程航海してやって来る。文字通りの機帆船である。写真を撮っていたら甲板でボヤッとしていた船員に船内に招かれた。折角の招待なので、幅30cm程の渡り板を渡り始めたら、真ん中辺りでは板が撓んで20〜30cm程も上下する。下を見れば海面まで5〜6mある。船に渡るときはそれでも上りなので未だ良いのだが、船内を一渡り見せて貰い降りる時は、下りだったので正直相当怖かった。船員達はこの渡り板を渡って材木の荷降ろしをする。デリックなどないから材木を肩に担いで荷役する。そしてこの狭い渡り板で平気ですれ違う。下は海だから落ちても死にはしないだろうし、カメラのような貴重品を身に付けている訳ではないが、油と生活廃棄物がうようよと浮いている海である。しかし、皆慣れたもので、およそ落ちそうな気配はなかった。荷役が終わるとこのようになる。勿論、写真は違う日に撮っている。左様に何時でも目白押しに船が停泊しているのである。材木置場はこの道路を挟んだ左側にあるので、船側に材木が積んである場所は一時置き場である。さすがにここから先はフォークリフトを使う。

 壮観な景色である。現在もこの景色は変わっていない。半年程前にこの埠頭の外れにある海鮮料理屋、というか食堂に行ったばかりなので間違いない。この食堂の蟹子や子の詰まったイカが絶品なのだが、この時僕は蟹子にやられて2時間後からホテルで七転八倒する羽目になった。旨い物は要注意である