baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 ジャカルタ観光 (3) 〜 中央部

 ジャカルタ中央部にはインドネシア最大の回教寺院がある。イスティクラルと呼ばれる、広大な建物である。我々観光客も礼拝の邪魔をしないと約束して裸足になれば入れてくれる。中は吹き抜けで陽も射さないので涼しく、三階ぐらいだったかにあるバルコニーから礼拝所が見下ろせる。京都辺りの拝観料を取る観光寺院ならいざ知らず、現役の仏教の寺院で法事をやっている最中に観光客を入れてくれる事は先ず無いと思うのだが、こういう処でも回教は柔軟だと思う。お祈りしている方も、観光客ごときに見下ろされても一向に気を散らさない。


 そしてイスティクラルの直ぐ近くには、それ程旧い建物ではないがゴシック建築風のカトリック教会が建っている。


 そこから更に少し南東に移動すると大統領宮殿がある。ここの衛兵交代はバッキンガム宮殿なみに格好良い。僕らが入る時は裏門で厳重にチェックされるし、大統領も普段は裏門から出入りするから、表は正に観光用である。


 大統領宮殿の真南に独立記念塔がある。モナスと呼ばれる。昔はジャカルタで一番高い建造物だったのだが、今はこれよりも高いビルが建ってしまった。この建物には入口が見当たらない。実は少し離れたところに入口があって、そこから地下通路を通って中に入るようになっている。中は独立記念博物館になっていて、初代大統領スカルノの独立宣言の肉声が流れている。傍らには第一婦人のファットマワティが、スカルノ等が前夜の深更に小林中将の居室で独立宣言を起草している間に在り合わせの布で徹夜で縫い上げ、独立宣言の時に高々と掲揚されたという紅白のインドネシア国旗が陳列されている。因みに独立が宣言されたのは1945年8月17日である。 
       


 更に博物館の横からエレベーターで展望台まで上がれるのだが、エレベーターは何時も地元の観光客でごった返しているので僕は上まで上った事はない。天辺の炎は金無垢だ、いや金無垢なら盗まれない筈がないから鍍金だ、と色々言われるのだが、僕は本当のところは知らない。しかしすっきりとした良いデザインだと思う。日本のゼネコンが建てたと聞いた。

 その他の見所と言えば、博物館の類は沢山ある。一般の博物館以外に繊維博物館、ワヤン(影絵)博物館、海洋博物館、戦争博物館、等々。国立博物館にはジャワ原人の骨が陳列されている筈なのだが、何時行っても外国に貸し出されていて僕はレプリカしか見た事がない。面白いのは、インドネシアでは博物館の中でも入口で写真撮影料を払っておけば写真を撮るのは自由な事である。
 旧い建物をレストランにしているところもある。「オアシス」とか「バタビア・カフェ」などが有名だが、何れも必ずしも建物を保存しようと努めている訳でもなさそうで、わざわざ見に行く程の価値はない。

 観光地とは言えないが、最近は有名ブランドの専門店が軒を並べるモールが外国人客を集めている。昔はジャカルタからシンガポールや香港に買い物に行くのが普通であったが、今はジャカルタがショッピング・センターになりつつあるそうだ。陳列されている商品は何れも高額で、日本の値段と変わらない。僕の駐在時代とは隔世の感である。