小沢一郎のインタビュー

　今日テレビで小沢一郎のインタビューが放映されていた。連日の喧しい陸山会絡みの政治資金規正法違反容疑を尻目に、囲碁の名人と碁を打ったり地方の参院選対策で駆け回ったりして本人は全くの無関係を装っていた訳だが、やっと肉声が聞けた。しかし予想通り「計算間違いはあったかも知れないが、意図的に脱法を狙ったものではない」そうである。やはり政党を束ねる人の心臓は並大抵ではないと感服した。
　西松建設の違法献金問題では、献金のルートが違法だったとか、西松建設からの献金であるという認識があったかどうかが容疑の争点で元公設秘書が公判中の訳だが、結局小沢一郎には捜査の手は及んでいない。本来西松建設が小沢一郎が知らない処で巨額の献金などする筈がない。親分の知らないところで幾ら献金をしても何の見返りも期待出来ないのだから、増してや西松建設の副社長レベルまで関与して献金などする筈がない。また小沢の地元の岩手で公共工事に絡む天の声があったというのはあちらこちらから聞こえてくる話である。にもかかわらず、この件はどうやら元公設秘書の裁判で終わってしまいそうである。どうにもトカゲの尻尾切りみたいな釈然としない顛末である。
　世田谷の土地購入に絡む疑惑では、4億円もの金額をわざわざ現金で揃えて台車で運んだり、小口の現金に小分けして別々の銀行に持ち込んで仮入金したり、素人目にも故意のマネーロンダリングではないかと疑われる。やましい事がなければ、あるいは脱法を意図していなければ、何もわざわざ現金を用意して小口に分けるような手間暇は掛けずにそのまま銀行間で送金している筈である。台車で何億円もの現金を運ぶなどというのはパチンコ屋か暴力団くらいだと思っていた。
　しかもこの4億円の出所もはっきりしないと言う。小沢個人の資金である事を隠蔽する為に、翌年になって銀行から小沢個人の署名で同額の借り入れをしているらしい。流石に特捜部も小沢個人の事情聴取を要請しているようだが、まだ受諾されたというニュースはない。今色々と知恵を絞ってシナリオを考えているのだろう。小沢がどんな金の生る木を持っているのか知らないが、国会議員の歳入や講演などの報酬だけでは中々4億円もの貯金は出来ないだろう。パーティー等は個人の収入にはならないから、やはり出所は知りたいところである。
　この話が一般人のものであれば、脱税やマネーロンダリングで先ず逮捕は免れまい。それこそマルサの出番もあるだろう。それが時の権力者、実質は総理大臣よりも権力のある人物、相手なので国家権力がどこまで踏み込めるか、大いに見物である。これが中途半端な結果に終わるようなら、やはり特捜部もマルサも権力には頭の上がらない、弱い者苛めの小役人に過ぎないという事になる。
　書いていて気が付いた。戦後最大の疑獄で実刑判決を受けた田中角栄の政治資金団体は越山会であった。田中を師と仰ぐ小沢の陸山会は越後と陸奥を入れ替えただけのものであろう。小沢が田中角栄に如何に心酔していたかが窺われる。金に絡む話といえば、必ずしも違法ではないらしいが、国民の税金から支給される政党交付金6億円近くを政党解体時に国庫に返納せずに小沢個人の政治団体に移してしまったという話もあるそうだ。叩けば叩くほど、幾らでも埃の出そうな人である。