baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 日本航空の再建

 日本航空の再建策が、迷走を重ねた挙句にやっと固まって来た。懸案の年金の減額も対象者の2/3以上の賛同が得られたようだ。財務省国土交通省のスタンスが揃わなくて長い間方向性が全く見えず、民主党政権十八番の方向が定まらぬ間に閣僚が色々発言するパターンで周囲は振り回された訳だが、これでやっと再建がスタートする。CEOには小沢一郎に近い京セラ名誉会長の稲森和夫が就くらしい。
 日航の年金が一人当たり年間幾らあるのか知らないので余り触れるつもりはないが、年金をあてにして生活しているOBには気の毒ではある。しかも政府から恫喝されて、不本意ながらも同意した人も多いと思う。政府は簡単にOBも連帯責任というが、経営陣にいた人ならともかく一従業員にしてみればそんな事を言われても全く自覚は持てないであろう。例えば分かり易いのがパイロット。パイロットの仕事は安全運航だけである。勿論サーヴィスの向上だとか、全く無関係ではないにせよ経営の責任も連帯だと言われてもそれは無体な話であろう。5割も減らされる現役の人も気の毒である。しかし、会社が無くなれば年金そのものが出なくなるのだから、気の毒だが止むを得ない事ではある。ただ、当たり前のように連帯責任論をかざす前原以下には、企業の実態と言うものが分からないらしい。年金減額がやむを得ない措置であるとしても、OBを一律に連帯責任とするのは暴論である。
 更に釈然としない事がある。上場廃止はともかく、100%減資という点である。しかも、優先株普通株を同一に議論するのも如何なものか。日航はナショナル・フラッグとして政府の強い指導の下に運航していた。その為、最近前原誠司自らが発言しているように、日航の経営悪化の一因には、地方空港の赤字路線を政治的配慮から運航せざるを得なかった等と言う事もあり、全てが日航の責任、延いては株主の責任、とは言い切れない筈である。政府専用機の運航の採算は果たしてどうだったのであろうか。営業路線に回せない航空機のお守が採算に乗るとは普通は思えない。僕の見立てでは、現に鳩山一郎岡田克也が使っている機体だって足を引っ張っている筈だ。
 にも拘わらず、普通株まで100%の株主責任を問うと言うのはどう考えても公平ではない。勿論株に投資するという事は損をするリスクもある訳で、元本保証などと思っている株主はいない。しかし、殊日航に関して言えば政府は余りにも無責任に株主やメガバンクに損を押しつけてはいないだろうか。民主政権は大企業には極めて厳しい社会主義政権であるから、メガバンクは運が悪かったと諦めざるを得ないのだろう。優先株を割り当てられた大手企業も同様、政権交代のタイミングが悪かったと諦めるしかない。一般株主も40万人程だそうなので、小沢一郎参院選の票読みには影響ないのであろう。とは言え、普通株はやはり70%とか80%程度の減資に留めるのが妥当だと思う。日航に限って言えば、株主責任は精々その程度であろう。前原誠司を初めとする国の無責任、且つ一方的な遣り方は許されざる権力の濫用と言える。