いよいよ面白くなってきた小沢の進退

　検察の事情聴取要請を無視してきた小沢一郎の読みが裏目に出たのか、或いは未だ自らのコントロール下にあるという自信があるのか、検察は全面戦争の火蓋を切ったように見える半面、小沢には全く動じる様子はなく薄笑いまで浮かべている。どちらが本当なのか分からないが、4億円の出所不明金を保有していた事、その4億円を現金で小口に分けるなどの偽装工作を行っていた事、その4億円を隠蔽する為に敢えて金利の損を覚悟の上銀行から借り入れを行っていた事、ゼネコンからかなり具体的な証言が出ている事、などもはや限りなくクロに近いと思われる。金額からいっても秘書の独断などという事は絶対にありえぬからには、その違法性が立証された時には三権分立を掲げる日本の面子の為にも小沢一郎を無傷で済ませてはなるまい。
　一方、鳩山由紀夫は「昨年の選挙前から発覚していた問題であったにも拘わらず選挙で国民の信任を得たのだから、既に国民の理解は得ている。政権はマニフェストに添って国民の期待に応えるように更に努力しなければならない」と開き直った。確かに昨年の衆院選の前に既に小沢の西松建設からの献金を個人献金と偽装した疑惑は出ていたが、その結果鳩山が民主党代表に入れ替わったものの、未だ陸山会による土地購入に関わる4億円疑惑は表に出ていなかった。鳩山由紀夫の相続税脱税問題も、9億だとか12億だとかいう金額は公表されていなかった。これ程巨額な故意の違法行為も選挙で票が集まれば禊が終わると言う強弁は、いくら何でも有権者を馬鹿にしている発言で、民主党が相当追い込まれてきている感じはする。
　社民党も国民新党も、以前より若干距離を置いた発言に路線が変わってきている。幾ら連立とは言え、他党の違法行為の連座で人気が落ちるのは困るし、かといって民主党との連立がなくなれば即泡沫政党に陥落するのだから、難しいところであろう。
　自民、公明は国会での証人喚問なども良いだろうが国会喚問は数の原理で勝ち目の薄い作戦である。今一番肝要なのは、この件に限っては民主党内部からも証人喚問に応じるべきだ、国民に説明責任を果たすべきだ、という声を作る事である。民主が割れないと国会での真相糾明は覚束ない。
　田中角栄が落ちた時には、自民党の中にも反田中の重鎮が複数名おり、彼らの声がなければどうなったか分からない処がある。今の小沢一郎は当時の田中角栄に劣らぬ権力者であるから、足元を少しでも崩さないと逃げ切られる恐れがある。小沢の今日の薄笑いは自信の裏返しなのか単なる鉄面皮なのか分からないが、自民党にも馬鹿の一つ覚えではない知恵を使って欲しい。そして何よりも我々有権者が衆愚選挙の汚名を被らぬ為にも、しっかりと事の成り行きを見守り公平な法の執行を求める事を追求し続けなければならない。