baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 久しぶりの積雪

 暗くなったのでチラチラと外を見るのだが、ちっとも雪にならないので東京は深夜まで雨かと思っていた。ところが9時前に外を覗いたらあっと言う間に白くなっていた。今は久しぶりにかなりの積雪になっている。深々と底冷えしてきた。電線やお向かいの屋根、大木にも雪が積もり辺り一面早くも白一色、何とも風情があるので写真を撮ってみたがブレてしまってまるで写真にならなかった。人間の目と脳は何と器用に出来ているのだろう。目で見れば素敵な夜の雪景色である。
 余り久しぶりの東京の大雪なので嬉しくなってベランダに出てみた。やはり寒い。地表の温度が2℃以下にならないと雨になってしまうと聞いた事があるが、今は恐らく零下になっているだろう。直ぐに溶けてしまって中々積もらないアスファルト道路も今はすっかり雪化粧で、足跡も真白である。お勤め帰りの人にはご苦労な事である。
 昨夜無精をして寝床で読んでいた藤沢周平の小説に偶々忠臣蔵の討ち入りが出てきた。当日はこんな夜だったのだろう。浅野の浪士も吉良の家臣や助っ人も、定めし寒かったであろうと改めて実感する。殊に吉良側は寝間着に裸足の者が多かったと聞いた事がある。気の毒に、寒さで体も動かなかったのではなかろうか。それで斬り殺されてしまったのだから、定めし無念であったろう。翻って我が家はといえばガラス窓が大汗をかいて外が見えない程温かい。僕の子供の頃とは大違いで、贅沢だと自重しながらももうとても昔には戻れない。
 ブログを書き始めたのと政権が交代したのが同じ頃で、その新政権がまた何とも期待外れに頼りなく政策の方向もこの上なく危ういので、日本の行く末を案じてこの数カ月少しイライラとしていたのに気が付いた。雪のお陰である。本来一線を引いたら改めて色々と人生を楽しもうと思っていた筈なのに、気が付いて見たら来る日も来る日も怒り狂っている自分がいた。勿論今の若い人達に重荷を背負わせてはいけないのでやはり当分は怒り狂う日が続くのだろうが、少し息を抜いて心を鎮めなければいけないと気付いた今日の、静かな雪である。同時に、久しぶりの寒さに、たった今も極寒のアフガニスタンで、イラクで、銃を持って戦っている米欧の兵士がいる事を思い出した。平和な日本に感謝である。