baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 またまたインドネシア

 またインドネシアに来ている。今回は余り間が開いておらず、一ヶ月ぶりといったところ。今は雨季のラストスパートで連日スコールが勢い良く降る。バングラデシュ時代に南方のスコールを称して「うどんみたいな雨」と言った日本人婦人がいたが、この時期のここのスコールも正に「うどん」みたいな凄まじい雨である。車に乗っていればワイパーを最速にしても全く効き目が無く前が見えない。立体交差の橋は多分10度前後の勾配になっているのだが、その勾配に雨水が数センチの嵩で激流の如く流れ落ちる。水が流れるより降る雨の方が量が多いのだ。あっという間に道路には数十センチの、日本なら洪水と呼ばれる、水が溜まる。排水が追いつかないからだ。以前、大通りを潜る橋の下で数分で水嵩が2mに達し、車の中で水死する事故があったのだが、今はその橋のたもとにはポンプ小屋が建てられている。雨水を排水するためである。毎年この時期はインドネシアのあちこちが洪水に見舞われる。連日の雨のお陰で日中はやや涼しい。
 昨日はバンドンから30km程のところで大規模な土砂崩れがあり、死者6人、行方不明70人以上の惨事が起きた。バンドンはタンクバンプラフに代表される火山地帯であり、土壌も火山灰地である。さらに惨事の起きた場所はお茶で有名な処。お茶は急斜面に栽培されており、且つお茶の潅木は根が浅いので余り土壌の保持には役立たない。そんな諸条件に豪雨が重なって気の毒な事故になってしまった。大体急斜面の下に住んでいる人は下層の人が多く、尚更気の毒である。150家族が住んでいたというから、犠牲者は更に増えるであろう。インドネシアにいると災害でも事故でも病気でも、とにかく簡単に人が亡くなってしまう。
 今インドネシアでもトヨタの問題が大変な注目を浴びている。会う人、会う人がトヨタは一体どうなってしまうのかと興味津々である。トヨタにも恐らく多少の対応の拙さはあったろうが基本的には民主党政権の米国の政治的陰謀であると防戦している。そうは言っても実は僕も段々自信が薄らいでくる。本当にトヨタに落ち度はなかったのか、或いは豊田章男社長に泥を塗らない為に頑張りすぎたのか、自信が揺らぐ所以である。
 当地では相変わらずセンチュリー銀行のスキャンダルが喧しい。日本ではあっという間に政治と資金の疑惑は下火になってしまったが、当地では未だ連日ニュースを賑わせている。副大統領も財務大臣も既に国会に喚問されているから、日本よりはよほど民主的である。フリーダムハウスの「インドネシアは既に自由」という判断は正しいようだ。3月2日に各党が検証結果を纏めて発表する予定である。どんなレポートになるか興味深い。インドネシアの大統領権限は日本の総理大臣より遥かに大きいから、大統領は無理をせずに流れに任せているのであろう。勿論最後の処は押さえているであろうから、ガス抜きの意も含めて未だ様子を見ているものと思われる。とは言え、鳩山総理よりはよほど民主的であり太っ腹である。
 日本では介護士の国家試験が21日に行われた。2年前から日本で実務研修を積んでいるインドネシア人も二度目の試験に挑戦している。今年から試験問題の漢字にフリガナを振ってもらっている筈だが、それでも漢字の言葉は難しい。特に医療現場の専門用語は日本人にも難しい単語が沢山ある。全般に介護現場は人手不足なのだから、日本人介護士の保護ばかりではなく外国人にももっと門戸を開放すれば良いと思う。一般労働者の流入には僕は懐疑的であり賛成していないのだが、介護士のように特殊技術があるならどんどん手伝って貰えば良いと思う。だから、一人でも多くのインドネシア人受験者が合格することを祈っている。この試験の事も当地では結構注目を浴びている。