baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 羽田空港

 羽田空港の拡張工事が秒読みになってきた。この秋からは米国の航空会社が飛ばすハワイや西海岸、東海岸との直行便にも認可が下りたそうだ。前原国交相が昨年、何の根回しもなしに突然羽田をハブ化すると言ったものだから千葉県が蜂の巣を突いたようになったが、その後も成田との棲み分けは未だはっきりしていない。しかし、とにかく従来のチャーター便に限ると言うカモフラージュを捨てて、いよいよ正式に羽田も国際空港への回帰の第一歩を踏み出す訳だ。
 海側から見ると羽田の新たな滑走路建設は大変な大工事であった。無数に打ちこまれたパイル、そして何よりも奇異だったのは異常な警戒振りであった。水上の工事には、工事に直接携わる工事船に、工事区域に他の船舶が誤って入り込まないように見張っている警戒船が付いている事が多い。普通なら警戒船の乗員が旗を振って警戒の合図を送って来る。道路工事で警備の人が旗を振っているのと同じである。ところが羽田の場合はこの警戒船が夥しい数配置されていて、僕等のプレジャーボートが遥か彼方から羽田空港方向に舵を取ると、早速僕等の進路妨害に警戒船が動き出す。旗を振って警戒を促すのではなく、進路妨害をして近付けまいとするのである。
 東京湾には東京灯標という大きな灯標が設置されている。これは遠くからでも視認できる大きなコンクリートの構造物である。広い海では、特に僕等の様な素人はGPSがあっても中々細かな位置の把握が出来ないので、灯標が大きな頼りである。灯標の所で海ほたるや、何か次の目標に進路を合わせて方向を変えたりするのである。この灯標から然程離れていない所に羽田空港が位置するので、僕は何度か警戒船に意地悪をされた。まるで自衛隊護衛艦か海保の調査船を追い回す中国艦艇のようであった。テロの警戒であったのかも知れないが、体当たりしかねない進路で接近して来るのである。過剰警戒なのだが、とにかく工事現場に近寄ることは許されなかった。
 そんな羽田空港の工事がやっと近々完成する。新しいターミナルが完成し、モノレールと京急国際線ターミナルに入るそうなので、今までよりは便利になるのであろう。今までは国際線に乗るには、一旦国内線出発ロビーに出てシャットルバスで10分程揺られて、無残にも狭苦しい国際線ターミナルまで移動しなければならなかったのである。
 僕は23区の西端に住んでいるので、距離的には羽田の方が成田よりは圧倒的に近い。恐らく成田までは70km、羽田までは30kmといった処であろう。しかし家からタクシーを使うには距離があり過ぎる。自分で車で行くには、駐車料金が掛り過ぎる。成田なら送り迎え付きで1日500円とか1,000円で駐めさせてくれる駐車場があるので、1週間位の旅なら自分の車で行っても良いのだが羽田は24時間で3,000円掛る。1週間駐めたら往復タクシーを使う方が安くなってしまう。
 しかし、海外旅行に出る時に公共交通機関を使うのは意外と不便である。先ず、旅行用のキャリーバッグを引っ張って混雑時の電車に乗ったりターミナルを歩くのは憚られる。大体が混雑時にそんな物を引っ張って歩かれると、足にバッグをぶつけられたり靴に傷を付けられたりするので僕は嫌いである。だから僕自身も朝夕はそういう事はしたくない。比較的空いている日中なら構わないが、羽田に乗り入れるのはモノレールと京急だけだから何れにしても我が家からだと最低でも二度乗り換えが必要となる。しかも、乗り換えのターミナルは階段が多く大きな荷物を持って歩くのは骨が折れる。となるとリムジンバスを使うしかない訳だが、新宿からだと成田へ80分、羽田へ60分と僅か20分しか違わない。首都高の品川−新宿線が開通すれば多少良くなるかも知れないが、今は渋滞時にぶつかれば60分も覚束ない。だから距離が近い割には時間的には成田と大して違わないのである。
 荷物を宅急便で事前に送るという手もあるが、その場合は荷物を前日には出さないと間に合わない。僕のように前の日の夜遅くなってからやおら荷物を作る人間には馴染まない。帰りなら宅急便を使うのも手だが、お土産などが減った分軽くなった鞄をわざわざ費用を掛けて家に送らなくても、リムジンバスなら乗り換えもないし階段もない。ただ電車に比べると大層時間が掛る。
 という訳で、東京都内の国際空港というのは成田よりは遥かに響きは良いが、実は僕の場合は羽田は余りアクセスが宜しくない。JRの池袋、新宿、渋谷から埼京線経由で、それと上野、東京駅から横須賀線経由で京急に乗り入れる、直通の羽田エクスプレスでも出来ないものか。モノレールを慮る必要があるなら、せめて山手線の西側からだけでも走らせて貰えないだろうか。そうなれば羽田の利便性は大幅にアップするのだが、今はどうも中途半端である。