baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 口蹄疫禍に見る日本の危機管理

 口蹄疫の蔓延が止まらない宮崎県がついに非常事態宣言を出した。疫病の恐ろしさが身に染みるが、一方で平和ボケした日本の危機管理の甘さが如実に表れたと思う。他の省庁も自治体も、今回の惨状を他山の石として今一度危機管理体制を見直して欲しい。何ら反省すべき点はないと厚顔無恥な発言をしている赤松農水相は閣僚の資質に欠けている。そもそも民主党の諸子は不勉強で、緊急事態に対処する能力が全く無く、上手なのは事が起きた後の開き直りと強弁だけのようである。この程度の能力と判断力しかない人間でも閣僚になれるのだから、行政の政治主導などとんでもない話である。今日の農水相の発言からも、素人に行政を任せる恐ろしさが否応なしに実感される。
 危機というのは予期せずに襲ってくる。突然の事だから前兆もなければ、危機なのかどうかの判断も判然としない。しかし危機管理と言うのは、判然としない時には迷わずに危機と判断して迅速な処置を取る事である。大体において初動が早ければ早い程、危機に際しての被害はミニマイズ出来る。結果として過剰反応であったとしても、それはそれで構わない。手遅れになるよりは過剰反応をすべきなのである。新型インフルエンザが日本に上陸した時に、予防ワクチンを過剰に手配してしまったのは正に当を得た対処だったのである。
 今回の口蹄疫発生に際しては、4月20日口蹄疫と疑われる水牛の存在が地元保健所から報告されたが、県の担当者は様子を見てしまった。それなりの言い分はあるようだが、やはり過剰反応になる事を恐れずに即座に口蹄疫の対策を講じるべきであった。明らかな初動ミスである。当初から迅速に口蹄疫対策が講じられたならば今日程の惨状にはならなかったのではなかろうか。これを結果論と言ってはならない。正に危機管理のイロハは過剰反応を恐れずに、疑わしきはクロと断定して迅速に対策を講じる事なのである。
 宮崎県の初動が遅れた事は否めない。しかし、DNA検査の結果口蹄疫と判明した後の政府の取った対応は、全て自治体任せの後手ではなかったか。昨日になってやっと政府に対策本部を設置したそうだが、既に牛や豚が11万数千頭も殺処分される事になってからである。しかも殺処分の能力が追いつかなくなっている昨日になってである。にもかかわらずの赤松農水相の「反省すべき点は無い」発言である。天然の災厄であるから誰も赤松農水相に責任を取れなどとは言わない。しかし反省すべき点は必ずあった筈である。それを一切反省もせずに開き直るのだから、もう切腹ものの魯鈍な大臣としか形容のしようがない。
 大体民主党政権の危機管理は信じ難い程平和ボケ・シンドロームに冒されている。先般の海自護衛艦への中国軍ヘリコプターの異常接近も、首相官邸に報告されたのは事件後5日も経ってからだと言う。中国軍が海自艦に攻撃を加える事は無い、という根拠のない予見に基づく判断が入ったのであろう。呑気を通り越して怠慢である。危機管理には予見が入ってはならない。常に最悪の事態を想定して対処するのが危機管理である。最悪の事態を想定すればどうしても過剰反応と言う結果になる。でもそれで何事も起きなければ、それで良いのである。中国軍はヘリコプターの異常接近を敢えて行い、日本側の危機管理体制をチェックしたのかも知れない。そうだとすれば、日本を攻撃しても反撃までには数日を要するという前提で仮想作戦を立て始めているかも知れない。