baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 福島瑞穂罷免

 ついに福島瑞穂が解任された。社民党は連立を解消するのか踏みとどまるのかを30日に開かれる全国幹事長会議で議論するそうであるが、連立解消となる可能性が高いであろう。元々国会議員衆参合わせて12名という泡沫みたいな政党であるから、野党になれば存在感は極めて薄くなってしまう。従い党内にも連立内に踏み留まろうという意見もあるそうだが、政策がこうも異なる政党が連立与党に入った事自体が小沢一郎主導の、主義主張などは二の次の政権奪取のみを目的とした無節操な連立であった訳だから、初めから無理があったと言える。政策がこれだけ異なり、党首がここまで虚仮にされて、まだ連立政権にしがみ付くという選択は常識では考えられない。そんな事をすれば最大の地盤である沖縄で有権者に見放される。社民党の政権離脱は必然であろう。
 社民党の本政権における当面の最大の法案は労働者派遣法の改正であった。今国会でこの法案を成立させるというのが与党の予定だが、社民党が与党を離脱したらどうなるのであろうか。今度の改正案は派遣社員を正社員に格上げするところばかりに目が行って、雇用の需給を考慮していない改正案なので、僕に限らず誰でも直ぐに予想した通り、派遣社員の受け入れがこの半年で40%も減ったそうである。平成16年の改正で既に1年超の派遣社員受け入れは安易に出来なくなっていたから、僕は現行法でも現実に即して派遣社員を充分保護していると思うのだが、今度の法改正で更に派遣社員を受け入れ難くしようとしているのである。しかも今春の新卒の就職難はバブル崩壊時に匹敵するそうであるから、一部の派遣社員を正社員に格上げさせようとする代わりに数多の失職者を作っているわけである。社民党元々社会主義の流れを汲む政党であるから、失業者が街に溢れれば次に何を言い出すのか分かったものではない。
 郵政改悪法案が今日、僅か一日の審議で衆院総務委員会を通った。世の中が普天間問題で大騒ぎをしている間に、ドサクサに紛れて強硬採決されてしまった。31日に本会議を通し参院に送る予定だそうである。これだけ金融・保険業界に与えるネガティヴ・インパクトが大きく、非効率な官営事業を民営化する流れに逆らう重大な法案が僅か一日の審議で強行採決されてしまうというのだから、もう日本の国会は議会の体をなしていない。民主党とは名ばかりで、数の暴力を振るうだけになっている。小沢上皇の強力なリーダーシップの下、党員の造反がないから野党の意見など聞くに及ばず、結論は既に決まっているという事なのであろう。ファシズムに通ずる国会運営になって来た。亀井静香一人は普天間問題などどこふく風、今国会での国民新党にとっての最重要法案を通して40万票を取り込む算段が付いたから、取り敢えず後はどうにでもなれと一人ご満悦の体である。自公連立よりも今度の連立は各党のエゴイズムが露骨に出ているように思われる。別の言い方をすれば、与党がバラバラで既に現状は政権運営の体を成していない。
 社民党の連立離脱の行方に拘わらず、普天間移設はいよいよ雪隠詰めの様相である。今となれば鳩山由紀夫の言葉は軽い、とか口から出まかせ、思い付き発言、とか色々言われ、また僕等もその言葉のいい加減さは分かって来たが、衆院選前からついこの間まで当てもないのに「最低でも県外」と言い続けられ、つい信用してしまった沖縄県民はもう簡単には納まりがつくまい。実際、沖縄県民の犠牲は飛び抜けて大きい訳だから少しでも県外に分担して貰えるという希望が出れば厭が応にも期待が膨らんでしまう。そして一度膨らんだ希望はもう簡単には凋まない。米軍訓練の県外移設も、全国知事会議ではただ訓練と言われても何の訓練だかも分からないのに「はい、わが県へどうぞ」と誰が言えるか、「政府は単に協力を要請するのではなく、もっと具体的な提案をすべきである」と猛反発であったそうだ。具体性に欠ける発言は鳩山首相のトレードマークであるから、幾ら怒っても治らない。しかし負担にはインセンティヴを付けて抱き合わせで提案しなければ、ただ頭を下げるだけでは誰も貧乏くじは引くまい。
 普天間問題は総理大臣が自分の夢と現実を混同して、引っ掻き回すだけ引っ掻き回した挙句に元よりも後戻りしてしまった訳である。「現政権が播いたタネは現政権がキチッと刈るべきだ」という仲井真沖縄県知事の言葉は、全国民の言葉を代弁していると思う。しかも5月は何とか言い逃れたが、日米共同声明に明記される米国との約束の期限はもう延長出来ないであろう。総理と官房長官は沖縄へ日参してでも秋までには地元の合意を取り付けねばならない。そうなると参院選民主党が惨敗しても、誰も次の総理になりたがらない事態も考えられる。とにかく、ここ数日ニュースは普天間一色である。現政権はもはや経済も外交も、他の重要事項には全て手が付かなくなっているようである。そんな中で幹事長一人が、国政を放り出して相変わらず参院選対策に余念がない。