baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 上海(3)〜交通事情

 上海の交通事情と言うとどうしても30年前の上海を想い出してしまう。当時は名古屋にも匹敵しようかという幅広の道路を、文字通り銀輪自転車が蟻の這い出る隙間もないぐらいに埋め尽くしていて、どうやって車で走るのかが分からない程であった。ところが車がクラクションをのべつ鳴らしながら自転車の群れに後ろから襲いかかると、不思議と自転車の群れに車が走れるだけの亀裂が出来るのであった。
 今は自転車はそれ程走っていない。走っている自転車も殆どが電動自転車である。上海の電動自転車は日本のそれと違ってバッテリーが不細工に大きいので航続距離が長く、殆どの人は足をフレームに乗せて電力だけで走っている。そして多いのが電動スクーターである。日本の原付自転車のようなサイズの電動スクーターが沢山走っている。逆にあっけにとられる程少ないのが所謂オートバイである。東南アジアではタイでもインドネシアでもベトナムでも、何処へ行ってもオートバイが氾濫しているが、上海では殆どエンジンの付いたオートバイは走っていない。東南アジアとの大きな違いである。それと彼の地では二輪車に乗るのにヘルメットは被らなくても違反ではないそうである。何とも危ない話である。
 上海の大通りには車道と歩道の間に一車線の二輪車専用レーンのある道が結構ある。車道との間には分離帯があるので先ずは明確である。ところが歩道との区別は場所に寄り酷く分かり難い。歩道が一段高くなっていてはっきり区別出来ていれば良いのだが、場所によっては歩道と二輪車専用レーンの区別がない。区別がないから慣れていないと二輪車が来るとは思わずに歩道だと信じて歩いてしまう。そんな油断をしていると、後ろから物凄いスピードで、しかも電動だから音も無く、平気で自転車やスクーターが突っ込んで来る。時速40kmはあろうか。こちらが気付いて避けなければぶつかる勢いである。これは心底恐かった。
 それと横断歩道を渡る時も恐かった。彼の地では東南アジアや中央アジア共通の、歩いている人よりも車の方が偉いと言う価値観で、横断歩道を渡っている時でも右左折の車がどんどん突っ込んでくる。吃驚して歩く速度を変えたりしようものなら、それこそぶつかりかねない勢いである。絶対に歩くペースは変えてはならないのである。運を天に任せて眼をつぶって一直線に歩くしかない。その上道が広いのに信号が酷く短い。僕の足でも歩行者信号が青の中に渡り切るのは中々難しい。増してや高齢者や障害者はどうするのであろうか。未だ々々車優先、金持ち優先社会である。共産主義になって60年になるが、未だに中国人の中身は典型的な拝金主義、資本主義であるとの思いを改めて新たにした。