baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 郵パックが大量滞貨

 日本郵便が日通のペリカン便を買収して、単独で新たな郵パック事業を始めて未だ数日なのに、既に30万個からの荷物が滞貨していると言う。私企業では考えられない準備不足、無責任、管理能力の欠如である。私企業でこんな事を起こしたら処分を受けるのは一人や二人では済まない。そして一旦処分を受けてしまえば、その挽回には一生を費やしても間に合わないくらいの大失態である。従い私企業の従業員であれば、事前に必死の準備とシュミレーションを行い、万全を期して新らしい事業に対処する。今回のペリカン便合併は、サラリーマンなら自分のサラリーマン人生の全てを賭けて対処しなければならない程の重大な新事業である。
 それが僅か数日にして30万個の滞貨と言う。中には冷凍食品や冷蔵食品が多数含まれているのに、それらの所在すら分からなくなっているそうである。一般では逆立ちしても考えられないが、これが官営企業の実態である。国民新党亀井静香が40万票の票集めの為に民主党政権を巻き込んで実行しようとしている、民営化をストップした日本郵政の実態である。滞貨の理由は、予想を上回る荷物の増加と、一部集配所での不慣れだと言うが、こんな理由を恥ずかしげも無く公表する事がまた情けない。荷物の量など幾らでも事前に把握出来たであろうし、集配所の機器の取り扱いや事務など数日実地に研修すれば不慣れなど起こりえない。単に日本郵政が呆れ返る程の準備不足であっただけである。今時準備不足など一般では理由にもならないが、如何に官営企業が甘いかを如実に物語る事件である。社長からして、民主政権が最も反対していた天下り役人であるから、企業管理には全く不慣れで甘かったのであろう。
 郵政が民営化に舵を切った後も、メール便に比べると郵便は劣るところが多かった。例えば郵便代一つ取っても、宅配便では普通郵便はA4サイズまで、200グラムまで、厚さ2cmまでは一律80円なのに、日本郵政ではA4サイズは基本料金が120円、実に50%も高い。200グラムだと更に幾ら取られるのかまでは知らないが、相当追加料金を取られるのは間違いない。また普通郵便でも宅配便ならバーコードでトレース出来るようになっているが、日本郵便では何かあればそれきりである。
 斯くの如く日本郵政郵便事業はサービス面でも価格面でもメール便には遥かに及ばないにも拘わらず、郵便事業は未だに赤字で日本郵政の利益は全て郵貯銀行と簡保からの利益である。4,500億円に上る昨年度の利益は全てこの二事業の利益である。一般の金融機関と保険会社との競合に、国家権力が不当に介入して捻り出した利益である。そんな事実からも如何に郵便事業が不効率であるかが分かる。そんな不効率な郵便事業が無謀にもペリカン便を合併したのだから素人にも混乱は想像がつく。その混乱すら想像できず、従いまともな準備もせずにおいた結果が30万個の滞貨となった訳である。
 亀井静香の浅はかな郵政官営化が如何に愚かな政策であるかを、これ以上雄弁に物語る事件はあるまい。日本郵政は骨の髄まで官営根性が染みこんでいる。それでも少しは民営化の効果も出始めていた。例えば郵便局の職員の笑顔である。「いらっしゃいませ」の声とこぼれる程の笑顔で迎えられる郵便局は以前では想像も出来なかった。未だ効率改善にまでは至らずとも、少しづつ民営化の効果は出始めていたように思う。
 これをまた官営化に戻して、国が保護をすれば益々その不効率が助長される事はあっても今より効率化される事はあり得ない。その帰結は一層の金融機関や保険会社への八つ当たりであり、最終的には一般国民へのツケとなって戻って来るであろう。増してや民主政権が任命した新しい社長が天下りで私企業の経験がないとなれば、奇跡が起きても効率改善はあり得ない。郵政官営化は絶対に誤っている。国民はこれ以上亀井静香国民新党民主党政権の欺瞞に騙されてはならない。