baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 大阪へ

 3連休の初日だと言うのに、仕事で突然大阪へ行かざるを得なくなった。零細企業の辛いところで、こちらにオプションは全くない。幸い新幹線は空いていて、難なく予約できた。今はすっかり便利になって、家から新大阪まで、携帯一つあれば電車に乗るのはもとより、新幹線の予約から指定券の発券まで、窓口に寄る事も無く全て改札機で出来るようになったので、突然の大阪への出張も随分と楽になった。昨今は名古屋より先に行く事はなくなったので、久しぶりの新幹線から見る美濃から近江にかけての田園地帯であった。車窓から眺める田んぼの緑が目に眩しく、一昨日までとは打って変わった昨日来の夏空に浮かぶ白雲が鮮やかで、訳もなくウキウキとするのであった。
 何年ぶりかの大阪ではうっかり駅を間違えて途中で地下鉄を下りたりと、田舎者ぶりを発揮してしまったが、東京とは違った独特の空気は健在であった。今日初めて気付いたのだが、東京ではエスカレーターで歩かない人は左に寄って右側を歩く人の為に空けておくが、大阪では歩かない人は右に寄る。どちらが先に始めた習慣かは知らないが、相も変わらぬ豊臣家と徳川家の確執なのか、たまたま逆になってしまっただけなのか、同じ日本なのに可笑しな事である。因みに名古屋では、やはり徳川派なのか、左に寄るようである。
 気の所為か大阪では歩きながら携帯メールをしている人が東京より遥かに少ないように思えた。東京の人は辺り構わずマイペースで、携帯メールをやりながら流れに乗らずに、どちらを向いているのかも定まらぬままウロウロと歩く人が大阪よりも圧倒的に多いようである。東京の人間が他の大都市の人よりも疎外されていて外部と自分を遮断してしまっているのか、人口が多すぎて他人を慮る余裕がなくなってしまったのか、単に馬鹿が東京に集まってしまっただけなのか、とにかく大阪では東京の人混みを歩くほどイライラする事はなかった。これも関西人の思い遣りかも知れない。
 そう言えば大分以前に何かで読んだのだが、日本で歩く速さが一番早いのが大阪人、二番目が東京人、云々という調査結果があったのを想い出した。と言うのは、今日の大阪人はそれ程速足でもない。地下鉄でも行列を作って、大人しく乗車する。暫く見ない間に大阪人気質も随分変わってしまったのであろうか、行列が作れないと言う汚名も返上の感であった。。エスカレーターで右に寄るか左に寄るかまで拘る大阪人には、多少落ち着きのない速足や、東京人はイライラさせられるが、多少行儀が悪い列の横入りも、今となれば懐かしい。最近とみに活力が削がれているような感じの大阪に、もう一度昔気質を取り戻して日本経済復興の片棒を担いで欲しいものである。