本日の死刑執行

　僕個人は死刑制度には反対である事は、このブログで二度ほど書いている。僕の理由は単純で、僕にはどんなに極悪非道な人間に対してであっても、自分から進んで他人の命を取る度胸が無いからである。法相の理由はもっと高尚なのだろうが、死刑制度に反対の立場を取っていた千葉景子が、今日2名の死刑執行を命じた。そして自身が刑の執行に立ち会ったと言う。
　これに対して自民党は、何でも与党に反対すれば良いと言う野党根性丸出しの批判をしている。理屈にもならない大島理森の屁理屈は何とも筋の通らない、迫力のないものであった。曰く、選挙で落選した大臣には法の執行を命じる権限は無いそうである。根拠も何もない暴論で、何とも情けない、醜いだけのコメントであった。自民党にはこの1年ですっかり野党根性が浸み込んだものと見える。みっともないから反対の為の反対や、与党の足を引っ張るだけのコメントは控えた方が良い。自民党の人気が回復しない所以である。
　僕も死刑には反対だが、現行法が生きている限りは法の執行をするのが法治国家であると言うのが持論である。だから、例え自分が裁判員になってしまった凶悪犯罪で、死刑判決をしなければならない事になれば、死刑が現行法で妥当な限りは死刑を宣告する覚悟である。それが厭だから、早く現行法を実質無期限の、恩赦無しの懲役刑にすべきだと主張しているに過ぎない。千葉景子も同様、自分の考えは現行法に批判的であるにも拘わらず、法務大臣としての職務を全うし、しかも自ら刑執行に立ち会うと言う勇気を見せた事は賞賛に値する。僕が法務大臣ならとても執行には立ち会えない。間違いなく貧血で失神するであろう。自慢ではないがイスラム教の犠牲祭で、牛を屠るのを見ただけで貧血を起こした実績がある。そういう意味からも、千葉景子のその職務に対する責任感には敬服する。聞けば現役の法相が死刑執行に立ち会うのは史上初のようである。そして、法務省内に死刑に対する勉強会を立ち上げると言う。刑の執行を目の当たりにした大臣の決定だから迫力がある。また、刑場を報道陣に公開する事も決めたそうである。
　一方に、一層の厳罰化を望む被害者の組織があり、他方に人間が他人の命を奪う事に対する道義的な疑問がある。政治的なパーフォーマンスや報復感情的な議論ではなく、今こそ真摯な議論を尽くして欲しいと念ずる。極悪非道の犯罪者に人間としての尊厳を認める必要は全くないと言うのが僕の持論だが、他方で、善良な人間が他人の命を殺める事に疑問を感じるのである。僕は、恩赦無しの、更には一定期間は面会謝絶や差し入れ禁止などの厳しい条件を付けた、人間の寿命を超えるような懲役刑は名案だと自画自賛しているのだが、如何であろうか。