baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 空白の政治

 参院選挙で民主党が大敗を喫してからすでに2週間以上が経つのに、民主党内は小沢派と反小沢派の綱引きで政治どころではなく、菅総理は総理公邸に籠っている事が多いようである。野党との連立もままならず、捻じれ国会では国会運営の見通しも立たず、与党どころか閣内すら纏まらず、菅総理は総理就任後、小沢上皇には一度も会って貰えない。小沢一郎参院選でもっと一線で目立っていたら、民主党は今以上に惨めな結果になったと僕は思うが、小沢を露骨に外した菅直人への小沢一郎の意趣返しである。小沢一郎の権力欲と、派閥を維持する金権政治の卓抜さは群を抜いており、どう贔屓目に見ても鳩山や菅では相手になりそうもない。。
 この半月の間に動いた事と言えば、30日から6日まで臨時国会を開き参院議長選出などを行うのが決まったのと、政府内で来年度予算の概算要求基準を決めたこと位ではなかろうか。この来年度予算の概算要求基準を政府内で決めるだけでも、既に閣僚からは不満発言あり、民主党の小沢派からは異論続出で、捻じれ国会以前に民主党内での菅総理指導力が益々低下しているのは明白である。特にここのところ、前原誠司が次期代表選に色気を出しているのか、閣僚でありながら政府批判を重ねているのが目に付く。
 一方で同じくこの半月で、参院選大敗の原因とされている消費税論議は、民主党の口からは出て来なくなってしまった。8月末までに決める筈だった普天間基地移転先の、辺野古と言う地名もフェードアウトなら代替施設の位置や工法も、屁理屈を捏ね回して先延ばしにされそうである。これでは一旦は信頼を多少は回復したかと思われた日米関係も、また元の黙阿弥になりかねない。
 こういう事態に陥る事は参院選以前から、鳩山政権が世論に見放された時から予想された事ではあるが、流石にこれほど政治の空白が顕著になると、日本の行く末に対する不安が急激に膨らんで来る。実際、民主政権は最早内政どころか、党内の意見統一に掛り切りで政治どころではなくなっている。半月と言えば、現代では相当長い期間であるが、この間内政も外交も全く放りっぱなしである。参院選の選挙活動期間を勘定すれば、政治の空白は既に1ヶ月以上である。更に言い募れば、昨年の衆院選以来ほぼ1年間、普天間問題の様に取り返しがつかない程後戻りしてしまった事例や、八ッ場ダムのように意地で何千億円もの無駄を作ろうとしている事例はあるが、前向きな事例は民主党の財源無きばら撒き政策が一部実行された以外、何ら目ぼしい政治は為されていないと言える。
 これだけ空白が続き、恐らくはこれからも民主党の代表選までは殆ど何も進まないであろうから、更に1ヶ月半も空白が続けば、国際社会ではもう日本は誰にも相手にされないと思う。米韓が日本海でかなり過激な演習を始めているようだが、北朝鮮に対する示威行為からも日本は最早完全にシャットオフである。当然、国際社会では拉致問題も霞んでいる筈である。更に、核開発に絡むイラン制裁では、日本は既に藪の外に置かれている感が強い。アフガニスタンに到っては、給油活動から撤退したきりで、民生支援に金を付けると昨年から言い続けるだけで、時には思い出したようにニュースを流しているが、実際には余り具体的に進展している風は無い。FTA交渉はまるで進んでおらず、この頃は話題にすらならない。むしろ外国から現政権に見切りを付けられ、交渉を棚上げにされた話が聞こえて来る有様である。
 国内経済は多少上向いて来ていると言うが、単に企業の業績が一時より上向いているに過ぎない。国内の産業空洞化は一向に衰えを見せず、雇用状態には相変わらず改善が見られない。だから、庶民感覚では景気回復はまだまだである。従い、政府が本腰を入れた景気回復策を早急に打たねばならないのだが、その気配は未だ全くない。
 国家財政はギリシャを馬鹿に出来ないほどの債務を抱えているが、改善の道筋はまるで見えないし、真面目な議論すら始まっていない。しかも民主政権は子供手当やら高校無料化、高速道路無料実験、農家戸別保証などの、衆院選を勝つ為に国民を騙した、財源なきバラ捲きだけは例え多少規模を縮小させても、止める積もりはない。
 政治家が本当に天下国家を憂えるなら、最早政争に明け暮れている余裕はないのは誰の目にも明らかである。やれ与党、やれ野党と、何でも敵対せずに、国の為の政策を真剣に議論して実行すべき時である。野党時代の民主党に散々「反対の為の反対」で痛めつけられた自民党が、蟠りをすっきり水に流せるか、自民党の腹の大きさの見せ所だと思うのだが。