baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 今度は日テレ社員が秩父で遭難

 昨日日本テレビのカメラマンと記者が秩父山中で遭難し、今日遺体で上がった。遺体の上がった場所は、昨日僕がバイクを転倒させて立ち往生していた場所から直線で30kmと離れていない。先日埼玉県の救難ヘリが遭難して5人が殉職した場所の近くであり、日航機が遭難した御巣鷹山からも直線で18km程度の所である。先日遭難した埼玉県の救難ヘリコプター事故の取材で二次遭難になってしまった。
 秩父は首都圏から極めて近く、また山の標高が精々2000m程度とそれ程高くないので全体が濃い緑に覆われており、それ程危険な感じがしない。しかし、山中に入り込んで周囲を見渡せば、物凄く急峻な山が折り重なっている。自分のいる山から手の届きそうな、それこそ数キロメートルの近さに隣の頂きが聳えていて、その間を沢が縫っている。沢までの標高差は目測では1000メートル近くもあり、山腹の傾斜は急峻で幾ら植物が茂っていて掴まる物に事欠かないとは言え、ロープなしで下りる事は普通なら先ず無理であろう。岩盤は石灰質で、脆い上に雨が降れば極めて滑り易くなる。しかも7月以来の多雨に加え、連日の雷雨で今は地盤も柔らかい。          

 コンパクトデジカメの写真では分かり難いが、2000m級の山が重畳と折り重なっているので、その頂と頂の間の山腹の傾斜のきつさは、温和な見た目とは全く裏腹である。この写真に写っているのは、僕が立っている山と一番奥の山との間に頂が三つある。眼前の稜線はそれ程急には見えないが、手前から奥に向かっては上から見れば垂直に見えるような山腹が連なっている。だからこそ、先日の救難ヘリコプターも人が下りられない沢で遭難した登山者を救助しようと狭い山腹の間に無理矢理降下した挙句の事故であったし、古い話では御巣鷹山に墜落した日航機の墜落現場が、あれ程飛行場から近いにも拘わらず中々見付からなかった訳である。
 日テレ社員の遭難については正直何がどうした結果か分からないが、一つだけはっきりしている事はこの頃のテレビメディアの過剰報道である。昨今益々週刊誌的になっている民放番組の、視聴者の野次馬根性に訴える低劣さはもはや報道の域を超えている。視聴率を最優先に視聴者を扇動するような番組が多い。先日の金賢姫来日時の扱いもそうであったが、本来ニュースバリューに乏しい題材を目先を変えて視聴者に売り込む姿勢が顕著である。今回の遭難も、日常的になってしまった過剰な報道合戦と、秩父の山を甘く見た結果ではなかろうか。