baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 ジャカルタは大洪水、メラピ山は噴火の兆候、スマトラでは地震

 昨日はジャカルタ周辺で大雨が降った。僕は午後からタンゲランというジャカルタの衛星都市とも言うべき工業地帯へ出掛けていたのだが、行きがけの高速道路から見える南側の空が異常な黒い雲に覆われていた。これは大雨が来るなと思ったら、案の定夕方から雷鳴と共に物凄い雨が降り出した。別に南方では珍しい事ではないので、気にも留めていなかった。タンゲランを出たのが3時半と未だ早かったのが幸いして、ジャカルタのホテルの近くまでは比較的順調に戻れた。しかし、ホテルから目と鼻の先まで近づいてからが大渋滞に巻き込まれてしまい、歩けば5分程の距離に30分を費やす事になってしまった。車の外は、もう大した雨ではなかったがそれでも未だ降っており、しかも到る所に大きな水溜りがあってとても歩ける状態ではなかったので、我慢して車で戻った。
 僕の被害はその程度で、ジャカルタでは大雨にも慣れ、渋滞にも慣れている僕には大した事ではなかったのだが、今日になって分かった事は、ジャカルタのあちらこちらで洪水が発生して、道路は大渋滞になったそうである。先ず雨は、場所により一時間に500mmと言う猛烈な量が降ったらしい。一時間に50cmという雨量は半端ではない。以前このブログにも書いた事があるが、ジャカルタでは急な坂道でさえも水嵩が10cmにもならんとする大雨が降る事があるので、50cmの雨量は十分あり得る雨量である。その為に、場所により2mも冠水してしまった。当然道路も洪水である。
 昨日の夕刻にジャカルタ空港に着陸した知人は、飛行場から市内に辿り着くのに5時間掛かったと嘆いていた。空いていれば30分位の距離である。先日の水戸からの帰りも120kmに4時間と酷い混雑であったが、ジャカルタ空港から市内は20km程度であるから5時間と言うのは人が歩く早さと変わらない。実感としては殆ど動かない状態である。僕はその昔の駐在時代に、やはり洪水のお陰で、空港からの道順で一番近いまともなジャカルタ市内のホテルまで10時間掛かった事があるが、その時は未だ全行程が高速で繋がっている訳ではなかった。それだけに、高速が全て開通している現在のジャカルタでの5時間という渋滞が如何に酷いものであったか、想像に難くない。世界的な天候の不順の影響と、ジャカルタ周辺の急激な開発による土地の保水性の下落、道路のアスファルト化、等々による洪水だが、多分に人為的な理由が勝っていると思われる。それだけに、早く総合的な手を打たないと今後益々頻繁に首都が麻痺する事になるであろう。今晩のJALで知人が一人帰国するので、早めに出発するようにアドバイスしておいた。
 中部ジャワではメラピ山の噴火活動が急に活発になって来たそうである。近隣住民3万数千人に避難勧告が出されたようである。この火山はインドネシアに数ある活火山のなかでも、近年は一番噴火の頻繁な、何時も噴煙を上げている火山である。ここ半世紀位の間に大噴火を何度か起こし、その度に土石流や火山灰が折からの大雨に流されて出来た泥流で、この間に何千、何万という住民が亡くなっている。今回も火山性地震などの解析から、マグマが相当上がってきており近々噴火が起こりそうである事、今回は相当大きな噴火が起こり得ると予想され、未だ最高度ではないものの昨日から厳戒態勢が敷かれていると言う。そして今日の夕方になり、頻繁な小噴火が観測され始めている。
 昨日はスマトラ西部でリヒタースケールが7を超える大地震が観測され、津波警報も発令されていた。今日のテレビニュースを見る限りでは、相当堅固に見える鉄筋コンクリートの建物にもかなりの被害が出たようである。何処までが地球環境破壊の影響で、何処までが通常の自然現象なのかは人智の及ぶ処ではないが、インドネシアは相変わらず自然災害に苛まれている。被害の皺寄せを一番蒙ってしまう一般市民が気の毒である。恒久的な緊急避難所の建設や、ジャカルタ周辺の森林保護、治水などに日本の知恵と技術と資金援助が出来れば、日本企業の仕事にはならないが、地元の人には随分と喜ばれるであろう。