baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 警官だらけの東京〜APEC

 今日はスペインからの客があって、昼から外へ出た。折からのAPEC、しかも今日から首脳会議とあって何処もかしこも警官だらけ、横浜からは随分離れているのにご苦労な事である。しかも雑踏には、見るからに雑踏に不慣れな警官がいる。地方からの応援部隊であろう。
 成田に出迎えに出た仲間の話では、成田の到着ロビーでは椅子に座っている外国人一人一人に警察官が英語でパスポートを確認していたそうである。そこまで徹底すれば恐らくAPECも無事に終わるであろうが、油断は禁物、一旦始めたからには最後まで気を抜かずに頑張って欲しい。
 地下鉄でも警備が厳しい。其々の駅には警官が配備され、ホームに台を置いて高見から警戒している。終点に着くと警備員が網棚から通路から丹念に見て回っている。ただの忘れ物検査ではない。指差し呼称で見回っているから、何やら物々しい。
 そんな中で菅直人オバマの会談は上手く行った様である。一時はどうなるかと心配になるほど鳩山由紀夫が関係を壊してしまった日米であるが、菅直人になってやっと普通に戻りつつあるようである。尖閣沖の衝突問題や、ロシアの北方四島での実効支配強化など、やっと夢物語では現実には対処できない事が一般にも浸透して来たのであろう。そんな追い風を受けて、日米関係にも修復の兆しが見えて来た。しかし普天間基地移設問題では相変わらず出口が見えない。米国は来年春までの決着を明快なメッセージとして伝えて来ているが、菅政権がどこまでその期待に応えられるかが、目先の日米関係が口先だけの関係修復に終わるのか、実質的にも関係強化に繋がるのか、政権の正念場であろう。
 菅直人はTPPやEPAFTAに熱心な様である。方向としては間違いなく正しい。ただこの人は、消費税増税の時もそうであったが、言っている事は間違っていないのだがどうも根回しが下手で、発言が唐突になるきらいがある。上手く政府内、特に与党内を纏めて欲しい。当面の争点は、国内農業問題と法人税問題である。
 国内農業はTPPに加盟すれば恐らく相当手痛いダメージを蒙るであろう。玄葉光一郎が、農業は例外になる可能性がある、などと言っていたがそんな幻想は持たないが良い。しかし、日本の農業はTPPに加盟しようがしまいが、今のままでは何れダメになる。スマイルスの「自助論」ではないが、保護規制と補助に支えられていれば何れは滅びる運命にある。米の770%の輸入関税など、想像の埒外である。戦後60年、最大の票田であった農業従事者が甘やかされてしまったのである。しかし当面は手痛いダメージを受けても、農業は基幹産業であるから絶対に滅びる事はない。今血を流して改革をすれば、また新しい産業として必ず遠からずして羽ばたくのである。既に農業人口は大巾に減少し、平均年齢は上がり、GDPも一桁を割り込んでしまった。何れにしてもそろそろ現状では限界に来ているのである。
 法人税について言えば、現在の税調の法人税に対する扱いは余りに安易であるように見える。先ずは政府としてしっかりとした将来像を描いて欲しい。即ち税調の議論では、法人税を5%減税する代わりに、損の繰り延べの見直し(改悪)や石油消費に対する増税、R&Dに関わる優遇税制の見直しやら減価償却の見直し(改悪)、などを通じて法人税の減税分を取り戻そうとしているようである。それでは全く減税の意味がない。法人税の減税は、一時的には歳入が落ちるが、それを乗り越えて実施して初めて企業の国内投資が戻り雇用が増え税収が増えるのである。更には外資の投資も見込めるのである。そこまでの5年か10年はじっと我慢しなければ、産業の空洞化に歯止めが掛らないのだから、政府としてしっかりとした日本の将来の産業構造を描いた上での真の法人税減税を実現しなければならない。