baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 尖閣諸島沖衝突ビデオ流出の余波

 尖閣諸島沖衝突ビデオ流出の犯人が自首した。犯人はやはり海上保安官であった。この問題では国会での野党の追及が厳しく、菅直人も最終的には行政の長である自分にも「ある意味」責任がある、と言わされた。野党の追及の主眼は、勿論危機管理、情報管理の甘さへの追及もあるが、それ以上に何故ビデオを国民に公開しなかったかにあるように見える。野党の追及が厳しいので、本件では海上保安庁長官の引責辞任は避けられない情勢のようである。仙石由人が既にその旨を仄めかせているそうだ。しかし、僕に言わせれば、検察官の証拠捏造に比べれば本件は遥かに悪質性が低いと思う。その証拠に、国民からは犯人の海上保安官に同情する声が、仙石由人の強弁とは裏腹に、圧倒的に多い。にも拘わらず検察庁長官には辞任はなく、本件で海上保安庁長官が辞任するのは如何にもアンバランスではなかろうか。そのアンバランスの理由は、偏に民主政権が野党に責任を追及されているか、されていないかの差だけであるように思われるが、そうであれば何とも奇怪な話ではあるまいか。
 中国は相変わらず、今回の衝突事件は日本側の故意にあると主張し続けている。そして今般のビデオ流出は日本政府の陰謀の可能性があるという声も出ているそうである。正当な理由も無く強弁のみで日本を攻撃する中国の姿勢には、些かの揺らぎも無い。一方で、民主政権は何をためらっているのか皆目見当も付かない。このビデオを一般公開すると日中関係に悪影響が出ると気にしているようであるが、衝突が起きた事は既に周知の事実であるのだから、今更隠すことではあるまい。とするなら、真実を一刻も早く公開してどちらに非があるかを明らかにした上で、その後始末を政治的決着であれ何であれ早く付けてしまい一件落着させる方がどれだけプラスになる事か。本件に限って言えば日中関係をこれ以上悪化させないと配慮すると言う事は、どちらが悪かったのかと言う責任の所在をあやふやにして、あたかも日本側にも一半の責任があるように中国に阿る事ではないのか。そんな弱腰だからこそ、真実を国民に知って貰いたいという義侠心を起こす海上保安官が出て来るのである。
 この海上保安官は、数日前に読売テレビの記者のインタビューを受けていたと言う。今日の未明の報道では、その記者が面談時の遣り取りを話していた。それによると当該海上保安官は、ビデオ流出の影響を蒙った海上保安庁検察庁那覇地検のことか)、同僚に申し訳ないと言い、民主政権の足を引っ張るとかの政治的動機がある訳ではない、偏に「このビデオを闇から闇に葬らせたくなかった」「事の是非は国民が判断して欲しい」「国民はこのビデオを見る権利がある」と述べ、更に「ビデオを公開した時から職を失う覚悟はしている」「罪になるなら罰を受ける」としているそうである。総理や官房長官よりどれほど潔い事か。先日も書いたばかりだが、こういう犯人を創り出したのは他でもない、国益を顧みずに、確たる外交方針も無きまま中国に阿るしか能の無い菅直人政権である。
 APECでの日中首脳会談が未だ決まらない。APECは既に始まっており、その首脳会議が明後日から始まると言うのにである。先日の小泉純一郎が講演の時に話した「靖国参拝」と同様、尖閣諸島の領有権問題について日本側が呑めない条件が何か付けられているのではなかろうか。強かな中国であるから、想像に難くない。もしそうであるなら、小泉純一郎の如く明快に返事をすれば良い。幾らGDPが追い抜かれたからと言って、卑屈になって首脳会談をする事は無い。菅直人も少しは骨のある処を見せるべきである。
 日本の外交下手、弱腰を見越して、今度は台湾の馬英久総統が図々しい発言をしているそうである。現在の台湾の政権は国民党政権であるから、所詮は中国の傀儡政権であるが、同じく尖閣諸島の領有権を主張している。曰く、尖閣諸島の領土問題は棚上げにして、資源を共有しよう、だそうである。元々日本の領土であり、日本に所属する資源を共有しようなどとは一体どういう料簡であろうか。こういう話に乗ってしまえば、領土問題は存在しないと言いながら、実質は領土問題が存在することになってしまう。20年ほど前に訒小平が同じ事を言い、当時日本政府がそれを呑んだ、呑まない、と言う事が今になって問題になっているが、中国一流の姑息なトリックであるから要注意である。僕の様な素人にこんな事にまで気を遣わせる、全く頼りない民主政権である。