政治資金収支報告

　政治資金の収支報告が総務省により発表された。直接見た訳ではないから詳細は分からないが、資金の性質が性質だけにどうせいい加減な報告であろう事は想像に難くない。企業の交際費だと、接待の実体があったのかとか、交際費としての支出が妥当かどうかなど、税務署の調査は手厳しい。しかし政治家の政治資金の使途などは、領収書があれば何でもお目こぼしなのであろう。ゴルフ代はともかく、キャディのチップまで政治資金で落としていると言うから、推して知るべしである。
　政治資金の収入総額が1,244億3千万円、支出総額が1,392億8900万円だったそうである。膨大な金が動いていると、改めて驚いた。しかも150億円もの赤字ながら、別に騒ぎにもならない。大企業はともかく中堅企業が1年で150億円もの欠損を出したら、死活問題になる大金である。政治家の集金能力や金遣いには舌を巻く。企業の政治献金は減少傾向が続いている様であるが、それでも献金があると言う事は、政治家への献金が暴力団へのみかじめ料と同類の金である事も分かる。
　そんな中で、小沢一郎の政治団体の集金力は群を抜いている。大体小沢一郎が代表を務める政治団体が一つや二つではない。そしてその政治団体の間で金が動いていると言う。企業で言えばトンネル会社を沢山作って、税務署の目を欺きながら資金繰りをしているという構図である。またその金額が半端ではない。陸山会の昨年の収入総額は9億1000万円にも上るそうである。その上、陸山会は相も変わらずマンション転がしなどもしているようである。陸山会にこれだけの集金能力があるのに、更に小沢一郎の別の政治団体である「民主党岩手県第4区総支部」が陸山会を含む小沢一郎の政治団体に寄付をしていると言う。どうして一括して献金を受けずにそんな回りくどい事をするのか、素人には理解出来ない。
　その「民主党岩手県第4区総支部」が政治資金収支報告書への、7400万円の記載漏れをしたと言う。強制起訴される直前で最も神経質になっていて良い時期の小沢一郎の足下で、そんな大金が記載漏れされたと言うのである。と言う事は、小沢一郎の政治団体にとっては1000万円単位の金は大金ではないと言う事か。私企業では考えられない大金の記載漏れで、政治家の金銭感覚には呆れて物も言えない。暴力団のみかじめ料と政治家の企業からの集金は、日本では海辺の真砂なのであろうか。
　折から民主党では小沢一郎を取り巻く議員が次々と政治団体を結成していると言う。「北辰会」と言う一年生議員を中心とする政治団体を初めとして、「ワイン産業振興会」だとか「食料とエネルギーの自給率を上げる会」等々小沢一郎に擦り寄る議員は一向に減らない。国会や国民を無視して「政治とカネ」に対する説明責任には背を向けながら、相も変わらず小沢チルドレンを初めとする議員には人気があるようである。その理由は今般の政治資金収支報告を見れば、最早明らかであると言うのは穿ち過ぎであろうか。何とも寒々しい日本の政治家の実態ではないか。