baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 HTV「こうのとり」打ち上げ成功

 国際宇宙ステーションに物資を運ぶHTV、日本での通称「こうのとり」が今日の午後種子島から打ち上げられ、無事軌道に乗った。今日から5日掛けて宇宙ステーションまで航行し、宇宙ステーションとドッキングして物資の引き渡しをする。米国のスペースシャトルが今年引退すると、今後はロシアの宇宙船と日本のHTVが国際宇宙ステーションへの物資運搬を担う事になるそうだ。
 HTVは大型なのでロケットもブースターを大型にしたH2B型が使用される。弾頭が不格好に膨らんでいて日頃見慣れているH2Aのスマートさに比べると何とも不細工である。H2AサラブレッドならH2Bは如何にも力持ちで、北海道の輓曳競馬の馬である。不細工だが愛敬がある。今回は実験資機材の他、日本の水を80ℓ積んでいるそうである。この水の値段は1ℓ300万円だとか。
 日本のロケット技術は益々安定してきている。一度H2Aが発射直後に軌道を逸れて、地上からの指示で自爆した時にはどうなる事かと心配したが、それも日本の高い技術で7,000mの海底からエンジンを引き上げ、原因究明をして改良が加えられた。以来、一度も打ち上げ失敗がない。先日の金星探査機「あかつき」の軌道投入失敗は、米国製の逆止弁の不具合が原因と断定された。シリコンラバーの弁体が、何らかの理由で動かなくなってしまったようである。逆止弁とは、高圧の燃料に燃焼補助剤が混じらないように圧の差が一定以上でなければ開かないようになっている弁である。こんな物を米国から買っていたとは思わなかったが、やはり物作りは日本のお家芸であるから、歩留まりの悪い米国製などは使わぬに越した事は無い。
 相当昔の事であるが、ICチップを日本製と米国製と比較すると、歩留まりが5%以上も違うので、コストもさることながら 米国製は全量検査しなければならず使い物にならなかったと言う話を聞いた事がある。当時は貿易摩擦の最中で、品質の悪い米国製の品を無理矢理買わされていたのである。逆止弁の如き小さな部品一つで、折角の金星への接近を6年も待たされ、しかも壊れた逆止弁が直る訳ではないので今度は上手く行くという補償もない。「あかつき」打ち上げは高価な試みだけに、いかにも残念である。
 「こうのとり」が無事に宇宙ステーションにドッキングして、無人でその使命を恙無く全うする事を祈ろう。また帰りには汚物を持ち帰るのであろうか。そして、大気圏再突入では汚物や廃棄物共々燃え尽きるのであろうか。「はやぶさ」もそうであったが、使命を終えてやっと地球に帰還して、最後の最後に燃え尽きてしまうのが何だかいたいけない。しかし政治が迷走し、経済は停滞して相変わらずの円高株安、就職戦線は全く改善が見られず、福祉や健保も先行き見通しが立たない、等々相も変わらず八方手詰まりで気分の晴れない毎日に、何とも夢を膨らませて呉れる朗報であった。