baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 士道不覚悟の菅直人

 昨日、本ブログで書いた日本の国債のS&Pによる格下げについて、昨日の参院委員会の後、記者に問われた菅直人は「その件については疎いので明日にして欲しい」と言った由。昨年の1月7日に、藤井裕久財務大臣が体調不良を理由に辞任したのを受けて財務大臣に就任した者の発言とは到底思えない。今日になってその失言の重みにやっと気付いて「疎いと言うのは、知らないと言う事ではなく、未だそのニュースを聞いていない、という意味で言ったもの」と苦しい言い訳をした。そんな言い訳は誰も信じないであろう。この一事を取っても菅直人には、もはや一国の宰相としての資格は皆無と言わざるを得ない。
 国債の格下げは、国自体の格付けのダウングレードである。格付けをした相手は確かに私企業であるが、S&Pの格付けは今やムーディーズの格付けと並んで、世界の金融市場では大変な権威のある格付けである。その影響は昨日書いた、邦銀の資金調達のコストアップに直結するだけでなく、例えば外国からの日本向け輸出に貿易保険という制度があるとすれば、保険料が上がる話である。その他、日本の国力、経済力が一段格下げされた。つまり、日本経済を直撃するコストアップ要因なのである。それ程重要な事を、一時とは雖も財務大臣を務めた事のある人間が「疎い」と逃げられる話ではない。一体この宰相はどれほどの勉強不足なのであろうか。どれ程忙しくても、国難を救う気持ちがあれば疎いで済まされるレベルの話ではない。
 例えば僕が菅直人の立場であれば、仮に未だその情報を本当に聞いていなかったとしても、そんな事は極めて考え難いが、せめて「格付けが下がってしまったのは残念である。日本政府としては反論はあるが、そんな事を言っても仕方がない。国債発行残高が過大である、財政再建の道筋が見えない、と言うのであれば政府として全力を上げて理解して貰えるような努力をする」程度の事は言う。こう言うのと、疎いと言うのとでは、その影響には行って来いの開きがある。
 そう言えば、菅直人の国会答弁は常に答弁書の棒読みで、つっかえもっかえ、誰が聞いても自分で書いた答弁とは思えない。政治主導と言いながら、九分九厘官僚の書いた答弁の棒読みなのである。麻生太郎の漢字知らずを笑えぬほどの、たどたどしい答弁である。もう少し自分の言葉で答弁すれば未だ多少の説得力もあろうが、今国会の菅直人にはもはや宰相としての誇りも何もない、己の信念も政策も、少しも感じられない。
 蓮鈁が「私企業の格付けに一国の宰相が一々コメントするのは如何なものか」と言っていたが、この人は本当に世間を知らない。こんな人に仕分けをさせている事自体に民主党の人材払底を感じるが、格付け会社の金融市場に於ける影響力は絶大なものがある。そんな事も知らない民主党政権の総理であり閣僚である。自明な真理ではあるが、敢えて言わざるを得ない。民主党政権は亡国の政権である。