baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 日本の国債の格下げ

 S&Pが日本の国債の格付けを一ランク落とすと発表した。AAからAA−への格下げである。やはり日本の財政状態は、どう見ても異常だと言う事である。従来、日本は国債が殆ど国内で捌けている極めて異例な国なのだが、国内の資金で賄えていたので負債額の巨額さに比して国際的には余り問題視されていなかった。しかし、流石にS&Pも看過出来なくなって来たのであろう。今や国債発行額は997兆7000億円に上ると言うから、誰の目にも過大である。日本の年間予算の10年か11年分の数字なのである。金利を無視して、毎年一銭も使わなくても返済に10年も11年も掛るという事である。
 格下げの最大の理由は民主党政権には、大幅な赤字体質の国家財政に対する一貫した戦略に欠ける、という事だそうである。元々民主政権は迷走政権であるから、そこに一貫した戦略など端からある筈がない。指摘されれば言い逃れのしようがない、妥当な理由である。財政赤字はその後も膨らみ続け、AA-はサウジアラビアクウェート、台湾などと同格である。世界第三の経済大国にしてみれば、何とも恥ずかしい格付けであるが、これが実体であると言う事を国民一人一人が胆に銘ずるべきであろう。
 S&Pの格付けが下がれば、恐らくムーディーズの格付けも遅かれ早かれ下げられると思う。この二社は、どちらが後か先かは別にして、大体同じような傾向で格付けをしている。そして、彼等の格付けは今や国際的な標準になっている。この格付けが下がるとどういう影響があるかと言うと、我が国の国債の利率が上がる。政府の国債に関わるコストアップになる。
 しかし一般の企業にとって最も影響が大きいのは、銀行の資金調達コストが上がると言う事である。即ち、一般企業にとっては銀行からの資金の借り入れコストがアップする事に繋がる。企業の財務が圧迫される訳である。一般の国民には殆ど直接的な影響は感じられないが、企業の経済活動には少なからず影響が出る。だから円が直ぐに下がった。その位、我が国の経済にはマイナスとなる。折角浮揚しかけ、それでも未だ上がったり下がったり、ヨーヨーの如き日本の経済復興に、頭から冷水を浴びせるようなS&Pの格付け見直し発表であった。
 ついに日本は、格付けまで8年9カ月ぶりに下がってしまった。誰の目にも、日本の財政はもはや危機的状況にあるのである。一刻も早く財政再建の青写真を作り、国民の信任を得て実行に移さないと、我が国は本当に二流国、三流国に陥落するであろう。そして遠からず、過大な債務に喘ぐ事になるのである。