baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 子供たちのために

 東京消防庁ハイパーレスキュー部隊の隊長がNHKに出演していた。この隊長は隊員が活動している間中、線量計を持って隊員と行動を共にし、隊員が瓦礫の為にホースを延ばす作業を車外でやらなければならなくなった時には、一緒に屋外に出て隊員の被曝量を計測していた人である。文字通り決死の作業を隊員と一緒にしてくれた人である。
 人間は放射能被爆するとどうなるか。二種類ある。短期被曝と長期被曝である。短期被爆では、人間は火傷をして直ぐに死亡する。長期被曝では、DNAに損傷を起こして長期的には発癌する。このデーターは実験が出来ないので未だ充分揃ってはいないが、チェルノブイリ発電所の事故で、ある程度の数値が得られた。それによると、被曝量が7シーベルトではほぼ100%死亡、4シーベルトで50%が死亡、と言った数字になるそうである。1シーベルト、つまり100万マイクロシーベルトでの発癌率が5%だそうである。5%ぐらいになると、日本人の死亡率における癌の比率はもっと高いから、どういう数字なのだか素人には良く分からなくなる。そして、放射能線量が200マイクロシーベルトになったらとにかく避難する必要があるそうだ。また、1000マイクロシーベルトが安全な年間被曝量の目安であるようだ。僕の想像だが、これらの単位は正確にはシーベルト時である筈だ。
 とにかく東京消防庁の総括隊長が昨日の会見で言っていたが、敵が見えないのである。そんな中での、不気味な戦いである。誰だって癌になる確率が上がるような事はしたくない。結果としてはそれ程被曝はしないで済んだ様であるが、高濃度の放射能の中で屋外活動をしている隊員には、一々自分が付けている線量計を見る余裕はなかったそうだから、隊長の号令一下、身の危険も顧みずに脇目もふらずに働いてくれた訳である。
 その時の心境を問われて隊長は答えていた。「隊員には皆子供がいます。子供に安全な世界を伝えたいと頑張りました」。何と素晴らしい言葉であろうか。僕もこのブログで時々「孫子の代にツケを残さない為に」などと言っていたが、それを自ら体現してくれた人達がいる。この思いをみんなで共有して、暫くは苦しい時代が続くかもしれないけれども、見事に災害から復興し、破綻した財政から脱却して明るい次世代の日本へ脱皮させたいと願う。
 それと、昨日から東京消防庁ハイパーレスキュー隊ばかりが脚光を浴びているが、自衛隊も空から、陸から、連日地道に決死の活動を続けてくれている。更には重電メーカーの技術者や東電のエンジニア、関係会社の人達も相当数懸命な作業を続けているそうである。命懸けで原発事故と闘ってくれているこれら全ての人達に、改めて心から敬意を表するものである。そして無理をせずに、身の安全第一に作業して欲しいと願う。