baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 日本の復興

 もう昨日から余震の連続で、日本は一体どうなってしまうんだろう。今日も朝から大揺れで、また棚から物が落ちて桐箱が割れてしまった。揺れが大きい事は大きかったが、まさかそれ程だとは思わなかったので、ひょっとすると昨日からの余震の連続でもう落ちかけていたのかも知れない。それにしても、テレビを見ていれば10分おきに地震速報があるし、緊急地震警報が何度も何度も流されると、正直疲れて来る。今日は、もうすっかり地震酔いである。東京ですら疲れるのだから、東北や茨木は如何ばかりかと同情する。
 我が家には地震計がある。昔ウズベキスタンによく行っていた頃に、普段泊まっていたタシュケントのホテルがお土産に呉れた小さな瀬戸物の、民族衣装を着た人形である。安定が比較的良いのと直ぐに倒れるのとがあるので三つ並べて棚に置いてある。これが三つとも倒れている時は相当大きな地震があった時、一つしか倒れていない時は微震ぐらいである。留守にする時は、普段なら役に立つ。でも今は毎晩寝る前に立てるが、翌朝には幾つか倒れているので余り実用性がない。もう一つの地震計は、引き出しになっている食器棚の中棚である。電子レンジや炊飯器などが置いてあり、これは相当揺れないと動かないが、大きな地震だと飛び出して来る。この一ヶ月、この中棚がしょっちゅう飛び出している。気が付くと戻すのだが、これも余りの日常茶飯事に、最早地震計の有難味はなくなっている。
 今日は健康診断の結果を聞きに病院へ行った。ところが大袈裟な事に腫瘍の疑いがあるとかで、再検査を宣託された。面倒だと思いつつも6週間も先の再検査の予約をして、地下鉄のホームに入ると買おうと思っていた月刊誌が並んでいたのが目に付いた。早速買って中を開くと、好きな作家の塩野七生東日本大震災に寄せた短いエッセイを載せていた。彼女もメディアには不満があるようだが、心ある人が今のメディアの、無責任で扇動的な報道姿勢に共感する筈がないから、それは別に驚くには当たらない。ただ、イタリアでも連日、特に原発に関しては無責任な報道が流れているようである。
 その中で彼女は日本の復興の為の4つの提案をしている。先ず、こんな時期に日本人同士が批判や避難や攻撃をしない事。次に、斬新な発想の金集め。全ての銀行預金1万円当たり5円を強制的に徴収する方法などを示唆しつつも、具体的には金利の付かない、但し贈与税の対象としない国債発行を提案する。三番目は宗教法人への課税。そして最後が、期限付きで与野党の壁を取っ払う事。即ち政争の棚上げである。
 僕は今こそこういう斬新なアイディアが正に必要とされる時期であると思う。今般の原発事故に関わる国際事象評価がレベル7に引き上げられた事からも分かる様に、日常性から逸脱出来ない想像力と判断力では、緊急時の対処は不可能だという事だ。今のような非常時には、国民一人一人が知恵を絞って常識に捉われない、効果的で国民が厭でも納得する名案を出し合い、痛みを分かち合い不便を凌ぐ事が必要であろう。萎縮してはいけないという声が早くも出始めて、菅直人までそういう軽薄な事を早速言いだしているが、そういう詭弁を弄した贅沢は当分許されない。使える金を使うな、と言う意味ではなく、使える金が減っても耐えなければならないと言う意味である。国民一人一人が相当な倹約に努め、不便に耐える覚悟を固める必要があると思う。
 ところで塩野七生の提案だが、僕は預金に一種の課税をするのは面白いと笑ってしまった。実際にイタリアでやった手法らしいが、日本の国民の貯金の半分が銀行預金だと仮定すればざっと700兆円の預金があることになる。そこへ0.05%課税すれば3,500億円があっと言う間に集まる。しかも預金額が多い人ほど、裕福な人ほど、沢山納める事になるからこれはかなり公平である。目先のインフラ復旧などに使途を限定すればバラ捲きに消える事もあるまい。宗教法人への課税も良い。むしろこれは恒常化すべきである。多くの日本人は余り宗教に帰依していないから、この政策にはアレルギーも少なかろう。目くじらを立てて、口角泡を吹くのは公明党ぐらいであろう。しかし、批判封じや与野党の壁を取っ払うのには僕は賛成出来ない。少なくとも今の民主政権では、復興を担うのは無理である。余りにも素人ばかりで、原発事故ですら何ら指導力が発揮できていないのに、増してや日本の復興はとても手に負えまい。だから、与野党を早く交代させる為に、批判し続けて早期退陣を迫らなければならないし、その為には与野党間の壁を取り払う訳には行かない。