baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 パリから嬉しい知らせ

 ついさっき、フランスはパリから嬉しい知らせが届いた。一般の人にはどうというニュースではないのだが、今日パリで開催された「音楽と演劇の国際コンクール」のヴァイオリン部門本選で、インドネシアからフランスに留学しているケン・リナ・アシャンティさんが見事に優勝したと言う。
 彼女はジョクジャカルタの出身で母親が歯医者をやっており、元々は自分も歯科医になるつもりで大学も医学部に入学したのだが、子供の頃から好きだったヴァイオリンも捨てられず、オーケストラでヴァイオリンを弾いていた。そこを僕の友人の指揮者に見込まれてフランスへの留学を薦められたのだ。彼女の母親は反対したようだが、結局歯科医になる事は諦めて一昨年フランスに留学した。
 フランスではコンセール・バトワ―ルで学ぶと同時に、パリ郊外のコンセールバトワ―ルの教授をしている友人の夫人にも個人レッスンに付き研鑚に励んだ末の快挙である。勿論超一流のコンクールではないが、楽器もそれ程良い物を持っている訳でもなく、何よりも未だ全体のレベルの低いインドネシアからの留学生であるから、快挙と言って良いであろう。
 インドネシアでは、クラシック音楽では未だ中々食べて行けないので留学する学生は極めて稀で、しかも偶に留学した人は殆どそのまま海外に住み着いてしまい本国のレベルアップには繋がらなかった。アシャンティさんがどうなるかは未だ分からないが、取り敢えずこういう海外留学組が増えて、直接、間接的にインドネシアクラシック音楽界の刺激となり、レベルアップに繋がれば良いと思う。彼女と同時に更に2名が、友人の推薦で現在フランスとベルギーで研鑚に励んでいる。一人は楽器の他に作曲も勉強中、一人は学校に通う傍ら既にプロのオーケストラで弾いていると言う。彼等は三人ともヴァカンスは故国に帰るそうで、丁度7月にジャカルタで友人が振る演奏会があるのだが、その時には古巣で出演すると言う。出来れば聴きに行きたいものである。
 一般の人には無縁なニュースだが、インドネシア贔屓の僕には嬉しいニュースであった。早速インドネシアの全国紙にこのニュースを流したが、編集者の目に無事に留まったかどうか。インドネシアの経済はここの処絶好調で、このまま順調に成長を続ければ2030年には個人所得は現在の4倍以上に増えると見込まれている。彼女達も段々に音楽で食べて行けるようになるであろう。