baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 原子力発電所

 浜岡原発の突然の停止要請は、アメリカからの有無をも言わせぬ強い圧力だったという噂を聞いた。浜岡からは横須賀、厚木、横田などの米軍基地は手元の地図でざっと測ってみると何れも90マイル以内に入ってしまうから、浜岡で重大な原発事故が発生すれば関東の米軍基地は全て退避せざるを得なくなる。これは極東の安全保障の観点からは絶対に避けたい事態であるから、浜岡原発の危険性が前々から指摘されていた事と考え併せれば充分にあり得る話ではある。それ以上に、余りにも唐突で全く説得力の無い菅直人の突然の発表だったから、この噂が実体だったのではないかと思えて来てしまう。勿論、噂は噂に過ぎず、本当の事は今の処知る由もない。
 それにしても福島第一原発は酷いことになっている。元々福島第一の耐震基準は日本の54基の原発の中でも最低の273ガルだったというから、福島第二や女川が大事故に到らなかったのに福島第一だけが斯くも酷い事故になってしまったのも頷ける。比較的最近、原発の耐震基準は600ガルでは足りないから1000ガルとすべきだ、いや1000ガルでは未だ不十分だ、などと言う議論があるとの新聞報道を見たのだが、勿論僕にはどちらが現実的なのか分からなかった。耐震基準が高いに超した事はないが、所詮は自然の脅威に対する人間の知恵比べだから勝ち目は薄い、との諦観が常に何処かにあるのも事実である。しかしこんな議論がなされている横で、273ガルにしか耐えられない原発が稼働していたとは知らなかった。やはり現在の知恵でも危険と看做される原発は、アメリカの圧力があろうが無かろうが、取り敢えず早急に止めるべきである事には議論の余地はあるまい。ただ、その際には国民に対する十分な説明をし、余計な混乱と不安を招かないようにしなければならない事は言うまでも無い。
 原発の是非については、僕は余り本ブログでは議論したくない。そもそも原子力についての意見には、初めから政治思想に凝り固まったベクトルを持った意見が多い。原水爆反対運動にしても、何時まで経っても団体が二分されたままである。共産党社民党がそれぞれ、この運動を自分たちの政治運動に利用しているからである。原水爆に賛成する日本人は皆無と言っても言い過ぎではないと思うが、そんな日本ですらこの運動が今一つ盛り上がらないのは、これらの政治団体の存在が邪魔をしているからである。この事一つ取っても、日頃常に僕が口にする様に、彼等は亡国の輩なのである。
 原発についても同様で、共産党社民党原発をネタに政治運動をしている。だから原発についての議論は、注意しないと話があらぬ方向に逸れてしまう。政治活動ではなく純粋に原発の是非を論ずることが分かっていて、且つ万が一話が不毛になって来た時には何時でも後腐れ無く打ち切れる、即ち勝ち負けに拘らない相手であれば僕も議論する。どうして僕がこうも不特定の相手との議論に臆病かと言うと、その中に特定のベクトルを持った活動家が入り込むと、議論が議論ではなくなり、勝ち負けの勝負の様になってしまうからである。僕にはそういうトラウマが過去にある。
 昔学生時代に、「全共闘運動」と言う踏み絵を踏んだ後に、僕はノンポリ学生を集めて「授業再開促進会議」という団体を立ち上げて全共闘と明確に一線を画した事は以前書いた通りである。この時に、気付かぬ間に極めて巧妙に、この会議に代々木の活動家が潜り込んで来て会議の主導権を攫われたのであった。代々木は学生扇動と詭弁のプロであり、その上組織で入って来たから、それに気付いた処で僕達数人の発起人には勝ち目がなく、結局自分達から退くしかなかった。彼等はこうして純粋な運動を自分たちの目的に沿った政治運動にすり替えたのだ。ところが、一般の学生は中々それに気付かずに、巧みに代々木系の集会に動員されていった。その後、機動隊の導入でこの団体は自然消滅したのだが、この時にルールのない議論、コントロールの効かない議論にアレルギーが芽生えたのである。だから僕は正体不明の相手との議論は本能的に避ける。しかしコメントは大歓迎である。
 今般の東日本大震災で大幅な地殻変動が起き、溜まった歪が解放されたと同時に新たな歪が生じているので、非常に高い確率で内陸直下型地震南海トラフでの大型地震が予測されると言うのは、専門家が異口同音に警鐘を鳴らすところである。そこには特定のベクトルを持った人も純粋に科学的な人も混じっているが、表現はともかく結論は同じである。特に南海トラフでは、東南海、東海、南海、即ち名古屋沖、静岡沖、四国沖大地震が今回の東日本大震災の様に連鎖的に発生して激甚地震になる可能性も指摘されている。現代の科学は地殻変動を精密に計測して地殻の歪を算出し、歴史上の災害を分析した結果を突き合わせて予測の精度を上げているから、これらの指摘が大きく外れる可能性は残念ながらあり得ない。となれば、各地の原発の耐震、対津波の安全性は至急見直し、福島第一の二の舞は避けなければならない。政府も各電力会社も、少なくとも今般の地震津波と同等以下の災害を「想定外」とはもう言えなくなったのである。
 同様、新たな火山活動が起きる可能性もあると言う。富士山の噴火も充分あり得るそうである。もっとも富士山は日々精密に観測されている、日本で最も観測設備の整った火山だから、噴火は相当事前に察知出来るので心配は無用である。何れにしても、我々人間は精々80年位を1スパンとして考えるのでどうしても短視眼になるが、少なくとも既に46億年も活動を続けて来た地球から見れば20年、30年は瞬く間であるから、暫くは落ち着かない日々が続くと覚悟しておいた方が良さそうである。