baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 インドネシア雑話

 昨日からまた仕事でジャカルタに来ている。東京ほど蒸し暑くなく、夜は更に涼しいので非常に過ごし易い。東京の節電にも貢献出来て一石二鳥である。当地のテレビでは相変わらず何やら汚職絡みのニュースを流しているが、背景が良く分からないのでブログには書けないし、普通の汚職のニュースはもう聞き飽きているので、今日はまた雑話を二、三。
 昨日、飛行場から市内に入る高速道路で変わった車が暫く併走していた。車種はホンダのアコードか何か、とにかくホンダのフィットより一回り大きいハッチバックなのだが、全身がツヤ消しの黒色に塗り替えられていて、両側には黒味がかった赤色で蠍の絵が大きく描いてあり、その横に英語のレタリングでレッド・スコーピオと大書してある。フロントグリルも銀メッキのグリルの一部を残してツヤ消しの黒に塗りつぶし、そこに同色の暗い赤色のアクセント・ラインが引いてある。一見暴走族風だが、色合いと言い蠍のデザインと言い、なんともカッコいい。別に何かの宣伝ではなく、単に個人の趣味だと思われる。こういう悪戯がインドネシアでは極めて安価に出来るのを思い出した。以前にも書いたが、アコードのシャーシーに手で叩き出したクラシックカーのボディーを乗せたり、よく見ると本物ほどボディーが鏡面には仕上がっていないフェラーリが走っていたり、当地の職人技は安価だが中々のものなのである。
 日本人には身分証明書がないので、免許証や健康保険証やパスポートがないと身分を証明するのが難しいが、外国では身分証名書の携行が義務付けられている方が普通である。インドネシアもご多分に漏れず、身分証明書は必携品である。インドネシア人と雖も警察官に職務質問されて身分証明書が提示できなければ連行される。例えば、地方からジャカルタに出てきて住みつくのは色々規制されており、特に選挙の前などはチェックが厳しくなる。そういう時には日本で不法滞在の外国人を摘発するのと同様に、身分証明書を提示させて不法滞在する地方出身者を見つけ、地元に強制送還する。この身分証明書がジャカルタでは年内にICカードに切り替わるそうである。当地ではe-Cardと称しているが、日本で言うICカードの事であろう。従来の身分証明書と異なり情報量が各段に増えるので、身分証明書の不正取得や二重、三重の取得が出来なくなるそうである。当地では17歳になると身分証明書の携帯が義務付けられ、ジャカルタには該当者が700万人いると言う。本当に年内に全て切り替わるかは甚だ怪しいものであるが、とにかくインドネシアも間違いなく進歩を続けている。
 今日はリチャード・ギアインドネシアの観光省の招待で中部ジャワのボロブドゥール寺院の宣伝に訪れたそうである。彼は「プリティ・ウーマン」以来当地でも人気の俳優である。ご苦労な事に朝の5時半に夫人と子供と連れ立ってボロブドゥール寺院に現れ、僧侶の朝の参拝に混じって寺院に登り、30分ほど瞑想したそうである。しかし疲労を理由に予定されていた植樹や象に乗って寺院を一周するスケジュールは取りやめとなり、早々にバリでのバケーションに出たと言う。まぁ、欧米の有名人の、そこに日本人を入れても大きくは間違っていないが、当地でのパーフォーマンスと言えば端からインドネシアを馬鹿にした形ばかりのおざなりな対応が普通で、むしろよく5時半に出てきたものだと思う程である。傍から見ていても腹立たしい事が多いのだが、それでも今日は彼のお陰でボロブドゥールは大変な混雑であったらしい。しかし、今思い出してみれば一昔前の日本も似たようなもので、僕が子供の頃には米国の人気俳優が泥酔して記者会見に現れたなどという事件があったりしたものである。