baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 素晴らしい、なでしこジャパン

 夕べは3時40分にテレビのおはようタイマーをかけて横になった。試合が始まっても暫くは寝ぼけていたのだが、沢穂稀の何とも気の抜けたミスパスで先制点を取られて目が覚めた。それからはボールの支配率と言い、パス回しと言い、優勢な試合展開で、程なく川澄奈穂美が同点ゴールを決めてくれた。先制点を取られても、ちっとも負ける気がしない日本の戦いぶりで、落ち着いて見ていられた。
 体力は全然違う。スウェーデンは後ろから押したり抱き上げたり放り投げたり、何だか大人と子供ぐらい体格が違う。同点ゴールを決めた川澄にしても後ろから付き飛ばされて、吹っ飛びながらのゴールであった。当人は転がってしまい、ゴールが入ったかどうか自分では分からなかったと言う。相手の肩ぐらいまでしか背がないように見える日本選手は、競れば子供の様に付き飛ばされ振り回され、それでも上手に体を入れてボールを取らせない。そして一旦走り出すと早いこと早いこと、体格や腕力ではまるで適わないがスピードではむしろ勝っていた。どの選手も、走る、走る。ボールをキープしながら相手の選手を追いぬいて行く。そして運動量では完全に圧倒していた。個人技も明らかに相手の上を行っていた。しかも驚くべき事に、日本はここまでイェローカードは一枚も貰っていないと言う。如何に日本の戦いぶりがフェアーであるかの証である。今朝の試合でもスウェーデンは2枚ほどイェローカードを切られていたが、日本はゼロであった。その潔い戦いっぷりがまた、「なでしこ」の名に相応しく実に素晴らしい。
 1−1の同点で終わったハーフタイムでの沢の顔が、今まで見た事も無いほど険しかった。何処か足を痛めたのではないか、相手と当たった時に怪我でもしたのではないか、と心配になる程険しい顔であった。しかし後から分かったのだが、責任感が人一倍強い彼女は、自分のミスパスが起点になって先制点を取られてしまった事を猛烈に悔やんでいたのである。あれ程露骨に悔やんでいたのかと思うと、その責任感と勝利への執念にはただただ敬服するのみである。
 後半が始まって程なく、敵陣ゴール前の乱戦で今度はその沢がこぼれ球を頭で押し込んで勝ち越し点を挙げた。その途端、弾けんばかりの何時もの沢の笑顔が蘇った。さらにその数分後、再び川澄が相手キーパーからのこぼれ球を超ロングシュートで3点目を決め、勝敗を決した。このロングシュートは、キーパーが飛び出していて敵ゴール前が空いている事を冷静に見極めた高い球筋で、正に芸術的なシュートであった。ああいう場面であれ程冷静なシュートが打てるとは。同じく後半戦の、大野忍の強烈なミドルシュートも、結果は惜しくもバーの上側に当たってしまったが、その積極果敢さが強く印象に残った。なでしこジャパンは掛け値なしに、世界のトップレベルのチームになっている。
 その後は試合は一方的とも言える展開で、殆ど危なげなく銀メダル以上を確定した。そしていよいよ決勝進出である。相手は世界ランキング一位の米国で、過去24戦しているが、3引き分けがあるだけで未だ一度も勝った事がないと言う。今年も2回闘って2度とも0−2で敗れている。確かに相手は体格が遥かに大きい上に、スウェーデンと違ってスピードもテクニックもあるので、大変な相手だとは思う。しかし今のなでしこジャパンなら勝っても少しも不思議ではない。幸い18日は休日なので、思う存分応援できる。菅直人の醜悪で無責任な政権運営に辟易している毎日が、今日は一気に明るくなった。決勝戦では、下馬評では劣勢かもしれないが、なんとしても優勝して欲しいと欲が出る。