baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 ジャカルタにて

 今朝の東京はどんよりとしている。そのくせ太陽の位置が薄ぼんやりと分かるので、何だか酷いスモッグの中にいるようである。寒さも和らいで、夏物の上着一枚でも何とか凌げる。妙な気候である。
 今日から2ヶ月ぶりのジャカルタ出張である。普段は海外出張の出発は日曜日が多い。営業日を無駄にしないという現役時代の性が未だに抜けず、殊に月曜日に飛行機に乗ったりすると何だか罪悪感に襲われるからである。今回はその月曜日の出発となった。昨日の新宿の雑踏と、慣れない平日の交通事情への惧れとで今朝は何時になく早く家を出た。ところが家から新宿までの道も、新宿から乗ったリムジンが通る首都高速も、信じ難いほどに空いている。ガソリン高騰の影響であろうか。もしそうであるなら、不要不急の車がガレージに置かれているのは大いに結構である。平日なので休日に突然出てくる下手なドライヴァーが少ないことも一因かも知れない。バスは大分ゆっくり走っていたのだが、それでも新宿から60分で成田に着いてしまった。
 折から、インドネシアではカリマンタン(ボルネオ)で700mの橋が崩落し多数の死傷者が出ていると言う。東カリマンタンのマハカム川は大きな川で、ボートで3泊も4泊も川を巡る旅で有名である。その川に架かる橋であるから、長い橋である事は想像に難くない。しかしインドネシアでそんな大きな構造物があれば、安全性には常に疑問が付き纏う。この橋も未だ築10年に過ぎないのに、既に補強工事が始まったところであったと言う。そこにあるのは技術や設計の問題ではなく、汚職なのである。大きな公共事業であればある程、汚職が付き纏う。汚職が絡めば原資を捻出するために、手抜き工事は避けられない。かと言って汚職に応じなければ工事は受注できない。悪循環である。住商が絡む中古鉄道車両の改造と輸送に関わる運輸省汚職疑惑裁判の判決も今日出されるようである。住商の受注額は、当初運輸省が予定していた予算の二倍にもなっているそうである。以前にも書いているように、インドネシアを初めとする新興国汚職は長年の文化であるから、幾ら汚職撲滅を唱えても一朝一夕には無くならない。中国で大地震の際に学校が簡単に崩落して多数の児童が犠牲になったのも、まず間違いなく同根の大人の欲の帰結であろう。
 大阪では知事と市長のダブル選挙で、橋下徹松井一郎の維新の会が圧倒的な大差でダブル当選した。お笑い芸人でも府知事になる関西人の軽いノリもあろうが、橋下徹平松邦夫の違いはやはり片や将来ビジョンを訴えアピールしたに対し、片や相手候補を批判することに力を入れた事の違いであろう。商売では間違いなくそうなのだが、競合先の欠点を論う事によって自分の商品が優れているとする売り方は大体失敗する。自分の商品を買ったらどれだけ得をするかという売り方をしないと上手く行かない。演説も上手なようだが、橋下徹は中々の男であると思う。そして、大阪都構想はともかくとして、地方都市が元気になるのは結構な事である。しかし、バラ色の構想をぶち上げるまでなら簡単だが、それを実行するのが難しい。暫し橋下徹のお手並み拝見である。