baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 無事にジャカルタに到着

 今朝の東京は予想通り寒かった。テレビニュースによれば、日比谷公園の池に氷が張ったと言う。日比谷公園と言えば正に東京のど真ん中で、都心で氷が張るほど冷える事は稀な昨今である。そんな凍てつく中を、予定通り早朝に家を出た。家から大通りまではすぐなのだが、どういう訳か今日はタクシーがさっぱり来ない。偶に来ると迎車になっていて、結局大通りで7分も待たされた。随分と寒かった。それで新宿発のリムジンが1台遅れてしまう事になった。
 新宿では次のバスまで10分という処で列に並んだ。寒いけれども10分ぐらいなら何とか辛抱できるので、貧乏ゆすりをしながらバスを待っていた。ところが時間になっても一向にバスが来ない。周りの人は皆コートやダウンジャケットを着ていて、僕みたいな夏物の上着一枚などと言う人は一人もいない。係員に訊くと5分遅れだと言う。バスは新宿が始発なのだが、ホテルから出てくるので、偶にホテルから乗る外人が暢気というかいい加減でバスが遅れる事がある。仕方がないのだが、何もこんな寒い朝に限ってと恨めしい。ところが5分経っても未だ姿が見えない。寒さはそろそろ骨の髄にまで沁みこんできて耐えがたくなってくる。結局15分も遅れてやって来た。もう次のバスまで何分もない。中を見れば結構沢山外人が乗っている。まったく此奴等と来た日には、と腹立たしい。それでも凍死寸前にバスに乗れ、無事に成田に辿り着いた。
 飛行機に乗り込んだら、珍しい事に以前サーヴィスしてくれた客室乗務員がまた僕の係りであった。40年間、何百回か千何百回か飛行機に乗っているが、同じ客室乗務員と会うのは今日で3回目である。仮に同じ飛行機に乗っていても、担当の場所が離れていれば顔を見ることもないから、本当に珍しい事なのである。しかも彼女は400ccのバイクに乗るというので、前回はお互いにバイク話で弾んだ相手である。珍しい事もあるものである。ジャカルタで飛行機を降りるときに、回りの乗客に見えぬようにこっそりチョコレートをくれた。
 ジャカルタに着いたら雨であった。顔見知りの日本人現地スタッフが「今日は肌寒いのでお気をつけて」などと言う。気温は26℃であるから、たしかに夕刻のジャカルタにしては温度は低目であるが、今朝の凍える東京から着いたばかりだとまだまだ熱いのであった。
 ジャカルタでは国会前でデモをしていた。タクシーの運転手に訊けば農民のデモだと言う。土地を取り上げられたのに対価を払って貰えない農民が国会にデモをかけているのだそうである。当地のタクシーの運転手の話だから100%は信用できないが、大いにあり得る話ではある。何しろ当地は、登記簿謄本の原本が平気で幾つも出てくるお国柄である。何れも正規のものだから、どれが本物だかは誰にも区別がつかない、どれも本物なのである。つまり、裏でお金を払えば登記所の役人は何でも作ってくれるのである。そんな事が日常茶飯事で罷り通る当地の事、ましてや純朴な農民相手なら何があっても不思議はない。空き地を勝手に耕していたものか、或いはディベロッパーが二束三文で土地を取り上げてしまったのか、誰にも真相は分からない。久し振りにインドネシア特有の臭いを思い出す話であった。